第3話
自宅に到着し頂いたカバンもしっかりと持って帰る。
今後もお付き合いがあるかも知れない社長さんに頂いた物をすぐに確認した後、お礼の電話を入れなければならない。
自分の事もそこそこにカバンを開ける。
そこにはアマテラスが体を小さく折り畳まれて入っていた。
俺は驚いて言葉も出ない。
アマテラスは体をゆっくりと起こしてカバンから出てきた。
しかし、俺と目が合うと、ゆっくりとカバンの中へと戻ろうとする。
俺が腕を掴んで引き留める。
アマテラスの腕はウエットスーツ越しでもかなり熱を帯びているのが分かった。
このままカバンの中に戻ったら、中の女性が熱中症で倒れてしまうと思った俺はゆっくりとカバンから引き出した。
アマテラスは言葉を発せず、その場に正座する。
そして俺に紙とボールペンを要求した。
俺が手渡すと何か書き始めた。
【雑巾貸してください】
何をするのか分からないが用意した。
すると、彼女は雑巾でブーツの底を拭き始めた。
“だから、正座していたのか、うちの部屋の中を汚さない為に“
ブーツの底を拭き終わると、立ち上がり一礼して雑巾を手渡された。
俺が雑巾を受け取り、片付けて戻ってくるとまた書かれていた。
【お誕生日おめでとう!あなたの願いを私に可能な事に限り一つ叶えます】と。
いきなり、なんでも叶えますと言われてもすぐに願いは思いつかない。
その前になんで俺の誕生日を知っているんだ?
そっちに疑問を抱き始めた。
“それは置いといて、なんでもいいのかなぁ?“
目の前には全身がシルバーと赤とピンクで見事なボディーラインが強調された巨大ヒロインがいる。
“抱きついて押し倒したい、もしくは大きなおっぱいを揉みしだきたい“
というのが本音だが、そんな事をお願いしたら軽蔑されて、そのまま帰ってしまいそうに思って願いを口に出来なかった。
その時、俺のお腹が鳴った。
『ぐぅぅぅ』
アマテラスはウンと頷くと台所へと向かい、エプロンを取り出して、手際よく調理を始めた。
程なくして、食事は完成。
冷蔵庫内の食材を使ってチャチャと野菜炒めを作ってしまった。
あとは、炊飯器に残っていたご飯とインスタントみそ汁を俺の茶碗と器に盛られて出てきた。
お腹が空いていた俺は早速頂く。
「いただきます!」
アマテラスは俺の前に座り、頬杖をして俺の食事を見守っている。
「すっごく、美味しい、ありがとう!」
俺の言葉に少し恥ずかしそうな仕草を見せる。
俺の願いは叶えたので、アマテラスは帰ってしまうかと思ったが、帰る事なく先ほどのメモを見せてきた。
【お誕生日おめでとう!あなたの願いを私に可能な事に限り一つ叶えます】
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