第2話:私の彼氏になって?。

「永岡君・・・そんなふうに思ったの?」

「全然、違うよ・・・永岡君なにか勘違いしてる・・・」

「まあ、相談って言えばそうなんだけど・・・」


「だから僕になんの用?」


「うん・・・実はね、実は・・・永岡君に私の彼氏になって欲しくて・・・」


「は?・・・・・・」


「驚くのも無理ないと思うけど・・・なんかね、私他の女子と違うからか、

友達少ないって言うか・・・ほぼいないんだよね」

「だから、いつもひとりなんだ・・・」


「うん、まあ中川のことは、それほど知ってるわけじゃないけど、今、思うと

確かにひとりでいることが多いって気がする」


「でしょ、だからお願いしてるの・・・私の彼氏になってって・・・」


「って言うか・・・その彼氏って、なんで僕なの?」

「さっきも言ったけど、僕なんかよりカッコよくて人望がある優秀な男子

他にもいるでしょ?」

「たとえば生徒会長の三田村とか・・・」


「だけど三田村君は私のタイプじゃないし・・・」

「あのね、永岡君・・・あなた、そこも勘違いしてるよ」

「人を好きになるのにカッコいいとか優秀とか関係ないからね」

「誰かを好きになるって言うのは自分の感性、感覚?フィーリングでしょ?」


「中川の好きなタイプが、それが僕なわけ?」


「うん・・・私のことは詳しくは話せないんだけど私ね、時々くじけそうに

なる時があるの・・・だから誰か私の心の支えになってくれる友達が欲しいの

彼氏じゃダメって言うなら友達でもいい」

「ちゃんと話せる人がいてくれたら・・・ずっと楽になるから・・・

だから私と付き合って・・・お願い・・・ダメ?」


「くじけそうって・・中川でもそんな時あるんだ?」


「私はそんなに強くないよ・・・本当の私は完璧でもなんでもない」

「細胞劣化がはじまらないか、ちょっと心配だけど・・・・」


「さいぼうれっか?・・・ってなに?」


「あ、そこは気にしないで・・・ひとりごとだから・・・」

「で・・・私じゃダメかな・・・」


「いや・・・ダメなんかじゃないよ・・・むしろ逆、逆だよ」

「僕の方から僕の彼女になってってお願いしたいくらい」

「中川のお願い僕、全面的に受け入れる」


「ほんと?・・・ほんとに?」


「はんとだよ・・・なんかこれ夢じゃないのか?」


「夢でもいい・・・彼氏になってくれたら」


「現実と夢の中を行ったり来たり掛け持ちで彼氏はちょっとキツいって」

「それに僕、中川ふたりも面倒見れないよ・・・」


「あはは・・・じゃ〜永岡君の目の前の私の彼になって」


「いいよ・・・じゃ〜今日からよろしくね、中川・・・いや芽衣沙ちゃん」


「芽衣沙でいいよ永岡君・・・」


「あはは・・・それおかしい・・・だったら永岡君じゃなくて僕のことも

けいって呼ぶべきだろ?」


「分かった・・・けい・・・圭ちゃんにする」


「いいけど・・・じゃ〜あらためてよろしくね、芽衣沙めいさ


「うん・・・なんかさ、照れるね」


たしかに、こう言うシュチュエーションはそりゃ気恥ずかしい。

うまく纏まったけど、そうじゃなきゃ恥ずかしいだけだから・・・。


彼女の告白によって僕は芽衣沙が放つオーラの中に一気に入った。


芽衣沙の本当の正体も知らないで・・・。


芽衣沙に告られたその日から、僕たちは下校時一緒に帰ることにした。

彼氏になってって言われた以上、僕は誰はばかることなく芽衣沙の彼氏。

僕たちが付き合ってることがクラスの連中に知れても気にはならない。


最初のデートはなんとなくぎこちないものだった。

僕は女の子となんか、ちゃんと付き合ったこともないしデートだって今回が

初めて・・・そりゃ緊張するでしょ?


屋外と言う環境が僕にそう思わせるのかもしれないけど教室で会う芽衣沙とは

彼女はまた違って見えた。


僕「男」とはまったく違う女って生き物が僕の目の前にいる。

女の子って特別な生き物だよね・・・男にとってその存在は心地よさを与えて

くれるし癒しを与えてくれる抱き枕みたいなもの、抱きしめるときっと幸せな

気分にさせてくれる不思議な存在。


芽衣沙はとくにね。

彼女のなにげない仕草だけで僕の胸はキュンキュンしてしまう。


だけど楽しいデートは途中で中断した。


つづく。



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