第27話 魔閃こーうげき!
また悲しい出来事があって解散したが、現在土曜日昼前。
咲耶がズーンと落ち込んでいるのでとりあえず送り届けるか。
「ところで何のスキルに目覚めたんだ?ビーム撃ってたのは見たけど」
「【魔閃】だ、魔法スキル。これがあればもうあの人達と顔を合わせなくてもいいかも」
ほーん、咲耶はこれでスキル二個目。【回復魔法】と【魔閃】?ちょっと欲張りすぎだろ。後半はスルー。
まぁ俺も次のレベルアップですげぇ攻撃スキルとか覚えて活躍しちゃうから、今のうちに出番があるのはいいんじゃないの?うん、いいと思うよ。
まっすぐ帰って盾術の練習をして過ごした。
盾術と言っても片手武器前提の物か盾を使った逮捕術ばかりで余り有効とは思えない。小さめの盾で両手を使って攻撃とかは違うんだよなぁ。とりあえず攻撃を受け止めずに逸らす練習をした。
翌朝、今日もバスでゴブダンジョンへ。
「おはよう、覚悟の準備をしておいてください」
「何言ってるの社くん?」
いいんちょに呆れた目を向けられた。へへっ、今日もごっつぁんです。
「んで、いいんちょのスキルはなんだったんだ?」
「あーうん、ちょっと戦えるやつじゃなくてね。【調理】ってのなんだけど…」
あちゃー、これは素直に外れだな。探索者のスキルはやはり攻撃スキルが最初に求められる。次に補助や身体能力が上がる基礎スキル、装備の手入れに使えるものなどが続く。特殊な物だと転移とか収納があるけど所持者は稀だという。
まぁでも【調理】ならいいんちょの人生を考えると当たりだと思うぞ。俺もかあちゃんの料理が美味かったのをずっと覚えてる。料理が上手いのっていいよね、俺も動画に触発されてたまに挑戦するが大体失敗する。
ダンジョンに着いてささっと準備完了、9時を待って中に入った。
昨日と同じ様に他PTと間隔をあけて探索を開始する。
「社妹のスキルを試してくれ、射程と撃てる回数、撃てる間隔に命中率もだな。なるべく遠い位置から連射してみてくれ」
「承知しました。では中列に代わってください」
玲司と入れ替わりで俺の右後ろにIN、絶対に俺に当てるなよ。
「前から3体だ。咲耶頼むぞ」
来たのは杖、剣剣かな。
「【魔閃】!」
まだ発見直後、100m以上離れた所で咲耶が真っ直ぐに腕を伸ばしビームを放つ。ビームは一瞬で伸びてゴブリンを貫きそのまま消し去る。
「はっ!はっ!」
更に連射して残りも消し飛ばしてしまった。なにこれ?
「えええぇぇ……」
「咲耶ちゃんいきなり連射して大丈夫?辛くない?」
「ふふふっ、いえ、なんともありません。まだまだやれます」
もうお前一人でいいじゃん。
「どうする?これだけで終わってしまいそうなんだが?」
「何を言ってる、これで終わるならこれで終わらせればいい。社妹頼むぞ、暫くはこれで安全を確保できそうだ」
まじかよ、まじだな。まぁ元々作業だったしレベル上がるまではいいか。
「ちょっと待って!咲耶ちゃん、射程はわかる?ずっと先まで続いていたように見えたんだけど」
「調整できます」
無敵かよ。
こうして我がクランの最強フォームが完成した。
俺がタンク役、一人で放置されても一切のダメージを受けない最強の盾。
咲耶が砲台、一人で全ての敵を瞬殺して弾切れもない最強の矛。
後は索敵だな。【襲爪】、【鳥糸】の出番が無くて泣ける。【調理】が素晴らしいスキルに思えてくるな。あぁ玲司の指から糸を出すスキルは【鳥糸】だ。イケメンスキルの使い道無くて可愛そうですね。
「俺達兄弟ばかり活躍して悪いな。でもいつかみんなにも活躍する日が来るかもしれないさ」
拗ねちゃ駄目だよ、これが役割分担さ。
「いや、兄も要らないが。射線を塞ぐから下がってほしい」
こういうのよくないって思う。全員が活躍する全員野球っていうか全員戦闘っていうか、今時ソシャゲでも全員アタッカーが基本だよ?
「何度も言うが俺達はまだ一度しかレベルアップしていない初心者探索者だ。一番効率のいい方法で進めさせてもらう。二度のレベルアップの後に中級を目指す為の訓練期間を入れよう、それまでは数を稼いでいくぞ」
「「おう!」」
「う~ん」
「…」
この日は昼を挟んで狩り続け、夕方5時に終了した。討伐数は430、売却額は430万、一人30万円ずつ分けて残りはクラン資金となった。
咲耶以外のメンバーは警戒はしているものの、基本的には歩いて魔石を拾っただけだ。
蓮といいんちょが遠慮をしたが、今後容易に入れ替わる可能性があるし、常に均等割が絶対に正解であると説得して持たせた。
俺達中学生だぜ?日曜日だけで30万も稼いでたらバニラの香りがしそうでヤバイ。
という事で、俺と咲耶がいいんちょの家に寄って説明した。
キッズが群れて来たが今回のお土産はいいんちょが自分で買ったんだ。餌付けの機会を逃したぜ。
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