第21話 生き残る為の装備
全員が装備を選んだ。
咲耶といいんちょは店長オススメ装備、チェインメイル+フルフェイスガード+ネックガード+レッグガード+防刃手袋と靴。咲耶の分はなんとか予算内で収まった。
玲司は鉢金+防刃フード+防刃ベスト+レッグガード+靴+腕につける小盾、それと指貫きグローブを選んだ。グローブを選んだことにはザワッとしたね。防刃フードは首まで覆う目出し帽みたいでかなり間抜けな見た目に見えたんだけど、鉢金をセットにしたら忍者っぽくてかっこよくなった。これはファッションセンスと言って良いのか?
蓮が選んだのは軽い樹脂製のアーマー、更に金属製のガントレットとレッグメイルだった。ガントレットの指部分は皮製。頭防具は嫌がっていたが玲司が自分と同じものを付けさせてた。金属装備は高額だから蓮も狸ダンジョンの稼ぎは使い果たしたんじゃないかな?
俺は借金もあるわけだが、とりあえず今日の払いは足りて安心していた。
「それじゃ武器だな」
ん?武器?武器ね……、狸ダンジョンでは蹴り飛ばして終わりだからすっかり忘れてた。そうだよゴブリン倒す武器が必要だったわ。
「私と咲耶ちゃんはボウガンでいいでしょ。スキル覚えたら変わるかもしれないけどね」
「俺はいらねぇよ、こいつで蹴り飛ばす」
「俺もいらん、ナイフは持っている」
「俺は剣かなぁ、こんなゴツい鎧でナイフとかボウガンは無いよな」
ひとまず女子用のボウガンを見せてもらった。相手は身長120cm程度の小柄なゴブリンなので小型でいいとのこと。
「長く使うつもりじゃないならレンタル屋があるから借りた方がいいよ。メンテナンスの道具も必要だしね。矢が切れたら帰る、弦が切れても帰るって連中が多いよ。使い続けるなら購入して自分で覚えるほうが良いけどね」
数発装填出来る人気の小型ボーガンが1回1日で1000円程度らしい、矢は使い捨てで50円。随分安く思うがそれだけ人気なんだろう。
「んで少年の剣なんだけど」
チャキーン!剣を掲げようとしてバランスを崩してずっこけた。
剣舐めてました。下級上位クラス用の片手大型剣、重さ8kg。これにはスキルも反応せず、重すぎてとても扱えない。
一応軽い片手剣であれば1.5kg程度からあったんだけど、そこはやはり探索者用。人間同士の戦闘用ではなく、魔物相手に日常的に使用するのだ。対人間であっても毎日使ってたらすぐ折れちゃうと思うよ。
小型剣や短剣なら丈夫で軽い物もあるけど、このデカイ鎧で短くて薄い剣使うの?うっわかっこわる!ないわー、それは俺のロマンに反する。
しかも剣ってすげぇ高い、今持ってる片手用大型剣で200万。両手大剣だと350万から。車の値段やん。探せば安物の剣も売ってるだろうけどさぁ。やっぱり自分にあった物を使いたい。
「ダメだね、まぁ盾で叩けば良いんじゃない?盾術のスキル持ちは攻撃もするらしいよ」
ほう、盾で攻撃ね。ぶっ叩くくらいしか浮かばないんだが?
「こっちの盾はバネ式で杭が飛び出すよ、盾職がスキルを使って集団を押し止める時に地面に刺すんだよ。これで殴ったら強烈だろうね。小振りのカイトシールドなら側面や底で殴るのはよくあるよ」
俺が購入したのは体が半分隠れるサイズの緩いカーブを描く四角い大盾だ。殴れなくは無いが鈍重になると思う。
「少年はスキルで盾が使いやすいんだろ?だったら小さ目のカイトシールを増やして盾二枚持ちでいいんじゃないかい」
両手盾か、どう考えてもネタ枠である。重鎧を着て左手に大盾、右手に短剣か小さい盾。どっちがマシだろうか?どっちも駄目に思える。やっぱりそこのポジションはバスタードソードとか短槍だろ。
イメージしてみよう。
ゴブリン達の魔法と矢を弾き、突きこまれる槍を盾で受け流す俺、ゴブリンの体が泳いだ隙に短剣で攻撃!MISS!攻撃は届かない!
ゴブリン達の魔法と矢を弾き、迫りくる剣をモノともせず受け止める俺、右手の小さい盾で殴る!HIT!ゴブリンは尻もちをついた!
「あかんでしょ」
悩んだが答えは出ず、そもそも金が尽きているので保留となった。コンバットナイフは持ってるしな。レベルが上がれば身体能力も上がるので、当面はこれでやっていく事にした。
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