第8話 男には叱ってほしい時もある
「ていう事があったんだよ」
「ふーん、まぁいいんじゃねぇの」
放課後、蓮を捕まえて玲司の提案について考える。
「リーダーとかわかんねぇよ。だってモンスター倒してるだけでいいからって探索者になるんだぜ?リーダーなんて考えられんわ」
俺はもっと気楽にやりたいんだよ。
「もっと考えろって事じゃねーの。よっぽどおれらがすぐ死にそうなんだろう」
うーん。確かに死にたくはない。俺は気楽に生きて行きたいのであって、別に死にたい訳でも修羅道を歩みたいわけでもない。
「蓮は俺がリーダーでいいのか?というかパーティ?クラン?作って一緒にやるのか?」
クランは会社組織、パーティは一緒に探索するチームみたいなもんだ。
「俺は構わんぜ。お前らに面倒を任せるのは良さそうだ」
気楽に言ってくれるぜ。でも蓮がリーダーなんてやるわけない。ほんとに俺がやるのか?うーん。
ガガーン!!
瞬間!俺の脳裏に圧倒的閃き!体中に電撃が走り、衝撃は地面を揺らした!(錯覚)
「いいんちょをリーダーにしようぜ!!」
「智子をか?何であいつ?」
「いいんちょは真面目だし面倒なこともしっかりやってくれるだろ?ダンジョンにも興味津々だし、リーダーとか好きだろ。それになんと言ってもお前と一緒なら頑張るんじゃねぇかなぁ!えーおい!お前もやる気上がるだろ!?」
「またそれか…おめぇはほんと~によ~、わかってねぇなぁ」
それになんと言ってもいいんちょには大きな動機があるのだ!
「いいんちょはさ、貧乏なんだよ。一緒に稼いでいこうぜ」
「おま……はぁ」
いいんちょの家は父母が居なくて祖父母との同居だ。理由はうちのかあちゃんと同じ。
弟妹が3人も居るので、いいんちょは進学を躊躇ってダンジョンに興味を持っているのだ。
「それに俺、いいんちょからお願いされたら多少嫌な事でも嫌じゃなくなる気がする」
「なにいってんだかよ」
なんとか蓮の説得に成功し(?)、一旦家に帰ってからいいんちょの家を訪ねた。一度帰ってから直接会いにったのはもちろん理由がある。
「い~い~ん~ちょ~あ~そ~ぼ~!(クソデカボイス)」
「ちょっと!やめなさいよ!」
速攻でいいんちょが出てきた。軽戦士とか向いているのでは?髪を解いてるの久しぶりに見たな。
「いいんちょに相談があってな、時間良いか」
「はあ?スマホ使えばいいじゃない、なんなの一体」
ぶつくさ言ってるいいんちょの後ろから3人のキッズが顔を出してきた。長男の賢、次女の百合、三女の涼花だ。
「あ、てっぺいだ」「てっぺいまたねーちゃんにあいにきた」「てっぺーおやつもってない?」
「コラ!ちょっと家に入ってなさい、すぐ戻るから」
「いやいやい~んだよ、今日はこいつらに土産があるんだ。ほら、うまいぞぉ」
俺は左手に持った寿司を掲げた。スシゾーで詰めてもらった40貫セット5,500円だ!
「す、すげぇ!」「てっぺいこれ食べていいの!?」「てっぺーはかみ」
「え?え?なんなの?」
効果は抜群だ!ここで更に畳み掛ける。
「おっとそれだけじゃないぜ?」
右手に持った箱を掲げて追撃だ!ミスドーナッツのお姉さんにお任せで詰めてもらったドーナツ5,000円分だぞ!
「てっぺい!てっぺい!」「てっぺいあいしてる!」「てっぺーねえちゃとけっこんして」
キッズは大はしゃぎだ。寿司よりドーナツ、当たり前だよなぁ。
「ちょ、ちょっとあんた達落ち着きなさい!」
「ほら、俺はねーちゃんと話があるからな。持っていきな」
ワー!!っと抱えて奥に引っ込んだ。元気があって大変よろしい。
「うぅっ、恥ずかしい。社もなんで急にあんなの持ってくるのよ、高かったんじゃないの?」
「昨日ソロで潜ったの聞いただろ?みんなと別れてからソロで5万円ちょっと稼げたんだよ。だからお裾分け」
「え?そんなに?……ほんとに?」
よし、つかみはOKだ!
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