第3話 ぶらりダンジョン探訪
「それじゃいこうぜ!」
今日は様子見なので近場の管理ダンジョンに行く。
管理ダンジョンというのは言葉そのままの意味、探索者協会が管理するダンジョン。攻略せずに維持管理して資源を集めている。ダンジョンの発生理由は謎に包まれており、不便な場所に発生した場合は管理がし難いので安全の為に潰してしまうのだ。最奥にあるコアを潰せばダンジョンは壊れてしまうらしい。
侵入に年齢制限すら無いんだから安全の為というのは建前だと言われている。資源を独占したいだけだろう。モンスターがダンジョンから出てきた例は無い。だから見つけても隠しているダンジョンは結構あるという噂だ。
「んじゃ電車乗ろうぜ、3つ先の葛の葉駅の駅前にある狸ダンジョンだ」
駅に入ると体の大きな山宮が注目を集めてしまうんだが、玲司が睨みつけ、蓮は山宮と顔を合わせてニッコリ笑っている。こいつらのこういうトコがモテるだろうなぁ。俺も何かやりたいな。変な事して俺に注目集めると良いんじゃないだろうか?デコイだよ、ダンジョンの役割的にはタンク役だ。よしこの作戦で・・・
「社くん、やめて」
「何もしてないが?」
「やめて」
いいんちょに止められてしまった。何故俺の考えがわかったのか?こいつ抜け駆けしてダンジョンで超能力に目覚めたのでは?
「鉄平は分かりやすいのよ、全部顔に出てるからね」
「そんな訳無いだろ、俺はいつでもクレバーな男で有名だ」
もういい、たった3駅だ。無心で行こう。
葛の葉駅は構内からダンジョン前まで商店が並び、多くの人で賑わっていた。
「結構活気あるな、気分が削がれちまうなぁ」
同意、もっと厳かであってほしい。
ダンジョンにちなんだアイテムが沢山並べてあり、遊びに来ましたって雰囲気の連中が沢山いた。まぁ俺達も似たようなもんではあるが、これじゃあ本当に遊びに来たみたいだ。
一応探索に使う道具や食料も売っている。
「あんな物に用はないだろう、申請は済ませてある。いくぞ」
玲司に急かされ入口に直行だ。ダンジョンの侵入に細かい制限はないが、人数だけは申請する必要がある。人数だけ管理したがる理由は知らんが、ネットで事前申請していれば職員にチラリと確認されて終わりだ。
「本当に放任なんだな。」
「ふんっ、中で誰が死のうが何が起ころうが知らんというわけだ」
「いいじゃねぇか、グダグダ言われなくてよ!中に入れば別世界だ!」
玲司は思うところがあるようだが、俺は蓮に賛成だ。中での事には口を出さず、利益だけを啜っていればいい。ダンジョンは探索者達の領域だ。
「この様子じゃ犯罪が溢れてそうだわ、取り締まる気はないのかしら」
いいんちょがぶつぶつ文句を言っているが、犯罪だけを見つけて取り締まるなんて無理な話だ。犯罪を見つけるためには普段から監視する必要があるし、管理者には強い権限を与える必要がある。そして荒っぽい探索者と管理者の間には緊張が生まれるだろう。ここは非暴力と平和を愛する人の為の場所じゃない、暴力と闘争で稼ごうって連中の世界なんだ。この体制が正解なんだと思う。
「モンスターにだけ注意してちゃ駄目ね、特に智子はフラフラしないようにね」
「どういう意味よ!」
「ともちゃん、ともちゃんは可愛いから気をつけてねってことだよ」
「あ、ああそういうことね!セリナも琴音も気をつけるのよ!離れないようにね」
やっぱり締まらないなぁ。今度は男3人で来ようぜと思いながら、ダンジョンデビューだ。
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