13話 砂浜編 下

解散した後、山崎くんに連れられて少し離れた場所にある砂浜を歩いていた。


「やっぱ、サンダルなくてもいいんだが…砂を感じてえ。」


「……山崎くん。泳がなくてもいいの?」


「あ?…俺が泳ぐとなぁ。夢中になって、下手すると適当な島に着きそうなんだよ…それにだ。」


山崎くんは僕を見つめる。


「病み上がりだからな佐藤は…どうせ、先生に止められたんだろ?泳ぐのを。」


「……。」


体操着姿の僕は黙って頷くと、山崎くんに頭をガシガシと撫でられた。


「え、山崎くん?」


「先に言っとくが、俺に迷惑だとか馬鹿な事は言うなよ。これは俺がしたいからしているだけだ…ここに来るまで、色々と佐藤には恩があるしな……話し相手くらいにはなってやるよ。」


「ありがとう山崎くん……でも僕は、」


「……ん?ああ。そうだったな。お前はそういう奴だった。」


山崎くんが唐突に庇うように僕の前に立った。


「…なら巻き込まれる前に早く行け。こっちも忙しくなりそうだからな。」


「うん。行ってくるね!」


慣れない砂浜に苦戦しながら僕はその場から離れる。


『あっ、やっと見つけた。キャーーーーーーーー!!!!山崎くぅーーん❤️』


「何あの子…カッコよくない?」


「ナンパしちゃう?やっちゃう??」


「…ハッ。ついに場所がバレたか。来やがれ…全員相手取ってやるよ。」


色んな水着を着た女子生徒や他の観光客達が山崎くんへと殺到して、走っている僕とすれ違っていった。













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