11話 砂浜編 上

体温計で測ってみると平熱に戻っていたので、近衛先生にその事を伝えた後、食堂の指定された席に座った。


「昨日はごめんね…山崎くん。」

「は?何言ってるんだ??熱だったんだから仕方ないだろ。元気になって良かったな。」


山崎くんの目にうっすらと隈があるのに僕は気がつく。


「あの、何かあったの?」

「ねえよ。お前が気にする事じゃない。」


ピシャリと言われて、僕は黙って朝ごはんを食べる。


「…美味しい。」


「美味いよなコレ。特にサーなんとかが美味い。」


「サータアンダギーだって…あ。谷口くんにも後でお礼を言わなくちゃ。あの女子生徒は誰だったんだろう?……山崎くんは知ってる?」


「女子生徒…残雪か。なら別に何も言わなくてもいいと思うが……佐藤が傷つくだけだぜ。基本的に無口だからな。」


「でも…感謝の言葉は伝えるべきだと思う。」


「なら勝手にしろ。」


先に食べ終わって席を立った。


「…そうだ。これから海に行くから、準備しとけよ。」


「うん。」

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