8話 旅館編 上

宿泊する旅館の部屋に荷物を置き、用意されていた布団に1人寝転がって、額に手を当てた。


「……熱い。」


建物に入る時にあった体温チェックで38.9を記録したボクは副担任の近衛先生の指示に従って…今に至る。


その結果、残りの今日のアクティビティ等は潰れる事になったのは、だから仕方がない事だろう。


——それに僕は…誰かに病気を移したくない。

楽しみにしていた誰かの代わりになれた。そう思えば万々歳だ。


「……。」


高熱にうなされて眠れずにいると、外から聞き覚えのある騒がしい声が聞こえて扉…襖が突然開いた。


「やっほー!!やまねちゃん…元気?」

「どう見ても元気じゃねえだろ。先生に言われた物とか持って来たぜ。」


谷口くんと山崎くんが部屋の中に入って来て、僕の横に座った。


「体…起こせるか。拭くのを手伝ってやる。」


「ごめんね…山崎く…ケホ…ゲホッ!!」


何とか自力で体を起こし山崎くんが僕の服を脱がそうとした時に、谷口くんがお湯を絞ったタオルを持ってこう言った。


「いやいや、待ってくれ山崎君。その役は私にやらせて欲しい。」

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