7話 飛行機編 下
「…?何か変な音がしなかったか。佐藤さんも聞こえたか?」
「……!!!」
僕の右隣に座っていた井上くんが最悪のタイミングで目を覚ました。
「き、きき、聞こえてないよ。」
「…そっか。山崎はなんか知ってるか?どうせずっと起きてたんだろ?」
「……。」
「なに黄昏てんだよ…窓側の席は元々おれの場所だったんだからな。部活動のメンパーのよしみで特別に交換したけど。」
幸いな事に、山崎くんは首の向き的に窓の方を見ていた。だからまだ、異変には気づいていない。
「全力で満喫してくれるのはいいが…せめて、返事とか外の景色への感想とかを…んむ!?」
ならばと、僕は井上くんの口に人差し指を当てて黙らせた。そして声色を変える。
「山崎くんはやっと寝れたの。だから、一緒に静かにしよ………ね?」
コクコクと大人しく頷いたので、僕はサービスとして目を少し細めて、指を離してからチロリとその人差し指を舐めた。
「……あ、ふぁ……でも、おれには唯が…」
一瞬で、顔面が真っ赤になって頭を抱える井上くんの姿を見て微笑んでいると…ふと我に返った。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?!?!?」
絶対にこの服のせいだ。演劇部に入部してから何故か、女性が着るような服を着て演技をする事が多いから……つい。
(僕のばか…ばか………ばかぁ……)
沖縄に着くまで、さっきまでの僕を全開で罵倒し、心の中で悶絶する事になった。
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