3話 バス編 中
そんなひと騒ぎがあった後、僕は吐瀉物で服が汚れてしまった為、空港に行く前に急遽バスをパーキングエリアで止めてトイレの個室で着替えていた。
——本当に悪かったな……お詫びとして俺の着替えなら、いくらでも貸してやる。
普通に断ろうとも思ったが、その申し訳ない表情を見て折れた。
「服のサイズとかは…」
「……えっと。」
その一言で察したのか、外で壁に拳を叩きつけた音が聞こえた。
「クソが!!…今だけは、俺の体格が……憎い。」
「大丈夫。結構ブカブカだけど、頑張れば着れると思うよ。山崎君はすごく体格が良いから…それを卑下したらダメだと思う。」
「…だが…っ。俺のせいなんだぞ…!分かった。ちょっと待ってろ。これから佐藤の為に追い剥…借りてくるからな!!」
「え…追い剥ぎって…山崎君!?」
返事はなく僕は途方にくれる。
(…どうしよう。)
このまま悠長に待っていたら、飛行機に乗れなくなってしまう…そう思っていると前触れもなく、上から布が降ってきた。
「…え……え!?どこから来たの。」
僕はすぐに扉を開けたが、そこには誰もいなかった。その布をよく見ると…
「…え、えっと……」
この服の名称は分かる…分かるけど。色々と言いたい事はあったが、なんとか今は堪える。
「でも、どうして……ワンピースなの?」
半袖でいかにも涼しそうな薄い水色のワンピースを手に持ちながら、恐らく犯人であろう部活動メンバーである2組の彼の事を、ちょっぴり恨んだ。
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