いざ沖縄へ
1話 合宿の開幕
僕が高校1年生になって初めての夏休み。
「班長の点呼はこれで全員か……よし、揃ったな。」
早朝。まだ涼しい学校のグラウンドに大きな荷物を背負った1年生達が集まる。
「…あー眠いなぁ。」
「昨日徹夜でゲームするからでありますよ?」
「…だって昨日は大規模レイドだったじゃん!!!見逃したら駄目っしょ!!長野原君?」
「否定はしないであります。事実、昨日はがっぽがっぽでありまぁした!!!…だから、眠いであり…まぁ……す。」
「よし、じゃあ委員長権限で寝よう…すやぁ……沖縄に着いたら教えてくれ…残雪副委員長?」
「………嫌。」
そんな眠そうな声が聞こえながらも、壇上には1年の主任であり担任である東条先生がいた。
「…今日は君達が待ちに待っていた、沖縄へ合宿の日だ。友情を育む絶好の機会だが、学ぶ時は心を切り替えてしっかりやるように。」
東条先生は生徒から背を向けた。
「チッ、普段ならもっと安めな場所なのに、花形校長め…思いつきで行動しやがって。しかも風邪で不参加とか……ふざけてるのか?」
「聞こえてますよー敗北先生!!!」
「何で荷物持ってねえんだ?おい、まさか…」
すぐに振り返って、的確に対象を怒鳴りつける。
「…っ谷口っ!!!私の事を敗北先生と呼ぶなと何度言ったと思ってる!?山崎は…やめろ。教員の旅行費は毎回自腹なんだ……後は察せ。」
「あぁ…毎回、合宿の話し合いの時間だけは参加しなかった理由が、それなんだな。」
東条先生は無言でまた背を向けた。
「時間がないから…話はここまでにするが……君達、私の分まで…楽しんでこいよっ!!!!」
「勿論だぜ!東条先生。お土産はちゃんと買ってくるからな!!!」
「…う、うわぁーー沖縄行ぎだがっだぁー!?!?!?」
泣きながら東条先生が校舎へと走っていく姿を見送った後、呆れながら2組の担任である東郷先生が咳払いをする。
「ではとっくにバスは来ていますので…順番に動いて下さいね。」
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