第31話 友昭の秘密

友昭ともあきは、あたしの子どもだ。誰にも譲らない!」

「聴いてください。勇者候補の一角があなたたちを狙っています。このままでは友昭くんと一緒にこの世界を壊しに来ています!」

 必死で声を荒げる本条さん。

「何を言っているのさ。本条さん!」

「キミは黙っておいて!」

 本条さんは真剣な眼差しで僕を制する。

「いくら元諜報部とはいえ、こんなこと許すわけにはいかないのです!」

 本条さんの見つめる先には僕の母がいる。

「そこまで知っているのね」

 お母さんが包丁を台所に戻し、コップにお茶を注ぐ。

「分かったわ。まずは話を聞きましょう」

 和平交渉が持たれるようだ。

 目の前で起きている歴史的快挙を喜んでいいのか、判断に困る僕。

「友昭くんはクローンですね? それも初代勇者のロランの」

 コトッとコップを置く音が聞こえる。

「そうよ。それで?」

「あなたはなぜ、そんなことを?」

「強いからよ」

 ガタッと机を叩く本条さん。

 その目は怒りが滲んでいる。

「だからって! マナの吸収やダンベルによる人体強化をしていい理由にはならない!!」

「本条さん? なんの話?」

「友昭くんはいい加減自分の立場を理解して!」

 僕が口を挟むのは許されないらしい。

「は、はい……!」

「もうこんなことは止めましょう!」

 本条さんが告げると、哀しげに目を伏せるお母さん。

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