第26話 パンツァー

 侵入者を排除すると、僕たちはクラスメイトのケアに当たる。

 とはいえ、テロ行為はこれまでに十八回経験している。

 そんなに可笑しいことだとは思っていない。

 幼稚園の頃からある、ある種のイベントである。

「たくっ。こんなことになるなんて……」

 杵元くんが吐き捨てるように呟く。

「まあ、よくあることだから」

「ないよ!?」

 僕がなだめるように言った。

 けど、犬飼さんは驚いたように目を丸くする。

「まあ、異世界にいたときはいたよね。こういう奴ら」

 本条さんが哀しげに目を細める。

「こいつら、パンツァー・ヌガ・セタイっていう組織らしいぜ?」

 ハッキングをしたスマホで情報を引き出している杵元くん。

「まあ本条さんがいれば安心だよね」

 じーっと見つめてくる本条さん。

 何か言いたげだ。

「な、なに?」

「いいえ。なんでもないよ」

 慌てて手を振る本条さん。

「それよりも、桐谷くんは大丈夫だった? 治癒魔法、こっちでは初めて使ったけど」

「うん。問題ないよ。それに筋肉で受け止めていたし」

「きんにく……」

 ショックを受けたような顔をしている本条さん。

 え。ショックな言葉あった?

 振り返ってみても、僕には普通のことしか言ってないよね?

 うーんと首をひねる僕。

「そうだ! このあと暇ならお疲れ会やろ?」

 本条さんがそんな提案をしてきた。

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