第18話 お土産

「うーん。頑張った……!」

 僕は伸びをし、図書館から出る。

 杵元くん、本条さん、犬飼さんも続けて自動ドアをくぐる。

「いやー。大変だったね」

「まさか、あの問題が伏線だったとはな」

「さすが鬼川おにがわ先生。複雑だったのね」

 本条さんも疲れた顔をしている。

 帰り道を歩いていると、僕は思い出したことがあって、みんなにこういう。

「ちょっとトイレ。さき行ってて」

「了解」「うん」「あいよ」

 それぞれの声を聴き、僕は一時的に離脱する。

「しかし、腹減ったな」

 杵元はそう言い、周囲を見渡す。

「ダメ。すぐ無駄遣いするんだから」

「ふふ。杵元君と雲母きららちゃんは本当に仲良いね」

「「はぁ?」」

「ほら、息ぴったりだ」

「むぅ……」

「ごめん。追い付いた」

 僕はその場に合流し、杵元くんと犬飼さんの顔を交互に見やる。

 なんだか不服そうだ。

「なにかあった?」

「「なんでもない」」

 綺麗にハモると、さらに不機嫌になる二人。

 あー。なんかあったんだな。

 クスクスと笑う本条さんを見て察する。

 なるほど。

 二人の仲の良さを訊ねたのか。

 確かに二人ともカップルとして良さそうだものね。

 分かるよ、その気持ち。

 僕たちは十字路で別れると、本条さんと同じ道を通る。

「どうしたの? 桐谷くん」

「はい。これ」

 僕はケーキを差し出す。

「え!?」

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