第13話 先生登場

 翌日、学校にて。

「おはよう。本条さん」

「うん。おはよう!」

 良かった。嫌われているわけではないみたい。

「あれあれ? お二人さんどうしたんだい?」

 杵元きねもとくんが物珍しそうにこちらを見やる。

「ふふ。これでもわたし、桐谷きりやくんとは仲良いんだ」

 嬉しいことを言ってくれる。

「へー。なにやったんだよ。桐谷」

「別に何もしていないよ。ただ――」

 そう言えばブラックホールみたいなところから現れたのを見たのがきっかけだっけ。

 本条さんのこと、何も知らないな。

「で。僕たちってどういう関係?」

「おいおい。桐谷、それりゃダメだぜ?」

「うん。お友達でしょう?」

 少し冷たい視線を感じる。

 それは女子グループからか。

 あるいは本条さんからか……。

「ほら。授業を始めるぞ」

 鬼川おにがわ雲母きらら先生が教室にはいってくる。

 ホームルームが始まる。

「じゃあ、またあとで」

「うん」

 僕たちは自分の席に戻ると、教壇に顔を向ける。

「さて、君たちも分かっていると思うが、そろそろ中間試験がある。準備しておけよ?」

「「「はーい」」」

「みんな、返事だけは良いな」

 クツクツと嫌みたらしい笑みを浮かべる鬼川先生。

「以上だ。みな、頑張れよ」

 鬼川先生が去っていくと、教室がガヤガヤと沸き立つ。

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