第8話 なんで?
僕は想いきって本条さんを自宅に招くことにした。
でも、いきなり呼んでいいのだろうか?
そもそも彼女との付き合いは短い。
新学期が始まってすぐの出来事だもの。
お母さんも妹の
じーっと見つめてくる本条さん。
そんなに興味津々なのは何故だろう。
僕には分からないことがたくさんあるのだ。
知る必要もないのかもしれない。
でもちょっと知りたいと思った。思ってしまった。
閑静な住宅街を通り、僕は自宅の玄関にたどりつく。
「ただいまー」
「お帰りー」
重さ50キロはある玄関を開けると、返事が返ってくる。
「あ。本条さん、どうぞ」
「え。ええ。あ、ハイ」
なんだか片言になっているけど、どうしたのだろう?
「あ。そこ赤外線レーザーがあるから気をつけて」
僕はいつも通り凝視してレーザーを見破る。
「えっ。可視光以外の色は見えないはずだけど……」
「うん? どういうこと?」
「それはわたしの言葉だよ」
ほとほと困った様子の本条さん。
「あ。まずは洗面所で手洗いうがいからだね」
「そ、そうだね」
引きつった笑みを浮かべる本条さん。
なんでだろう?
僕は片手で鉄球を持つと、何食わぬ顔で洗面所まで案内する。
「ただいま」
「あ。蜜柑も帰ってきたみたい」
僕は苦笑を浮かべて、宙づりのまま手を洗う。
なぜか本条さんはずっと顔をしかめていた。
なんで?
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