転生少女の才能1

 アニエス達が、先程ドラゴンがいた辺りに戻ると、ドラゴンの亡骸があった。騎士団が倒したようだ。


「あ、お前ら戻って来たのか。……その男子生徒は何だ?」

 フレデリクが、エルネストが引き摺っているロックを見て言った。アニエス達は、倉庫での出来事やアニエスの出自等について話した。


「……驚いたな、アニエスがナディア・フーリエの娘とは……」

 話を聞き終えたフレデリクが、目を丸くして呟いた。

「僕もついさっき聞いたばかりなんだ。驚いたけど、実際このロック・アーバンがマリユスの書いた本を持っていたし、信じていいと思う」


 アニエスは、エルネスト達が話している間にも辺りをキョロキョロ見回していた。

「フレデリク殿下、この辺りで蛇の魔物を見なかったっすか?」

「蛇?見てないな」

「ロックが蛇の魔物を生み出していたっす。探さないと……」


 その時、近くから悲鳴が聞こえた。

 アニエス達が駆け付けると、アニエスと同じクラスの女生徒が数名集まっていた。

「どうしたっすか!?」

「ああ、アニエス・マリエット!コレットさんが、コレットさんが……」


 見ると、コレットが倒れており、女生徒がコレットの身体を抱くようにしていた。

「急に蛇が出てきて、コレットさんを噛んだの。そしたら、コレットさんが気を失って……」

 女生徒が、目に涙を溜めながらアニエスに説明した。


「毒にやられたね」

 ロックが呟いた。

「ロック、この魔物の毒を中和する方法を私に教えるっす!」

 アニエスは、緊迫した様子でロックの方に振り向く。ロックは、ジッとアニエスを見つめた後、言った。

「……裏庭に生えている赤いレーヴトケイソウをすり潰して丸薬にした物が解毒剤になるらしい」

「ありがとう!」


 そう言うと、アニエスは医務室に走って行った。レーヴトケイソウは、神経に働く薬草。医務室には裏庭で採取した薬草を加工したものが沢山置いてあるはずだ。


 医務室の医師に丸薬を貰い、アニエスはコレットの元に戻った。アニエスがコレットに薬を飲ませると、コレットは間もなく目を開いた。

「……あれ……アニエス……?」

 弱弱しいながらも、コレットが言葉を発した。アニエスは、ホッとした表情を浮かべた。

「良かった……」

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