第92話 致命的な見落とし
「あー、先に改めて言っておく。今のままじゃ俺達は二十一階層に行けない」
オヤジ側の問題も概ね解決し、新階層への進出計画も最早可決を待つばかりの段階となりつつある今日この頃。
しかしつい先日、ある致命的な見落としがあったことに気付いた俺はレアと姉貴に通達、及び姉貴から
なお場所はレアの希望。
「ところで姉貴。オヤジの警護は?」
「抜かりないわ。そもそも私が今回の計画に参加したら四六時中ついていられなくなることは分かり切ってたし。そうなる前にネズミの駆除が片付いてひと段落ってところかしら」
「シドウ君。六巻が無いわ」
パフェをつつきながら漫画の続きを催促するレア。
読むか食うかどっちかにしろ。
「……な、なあ、雑賀……ああ、うん、二人居るな……なら仕方ない……あ、あああ、あう、あう──」
「じゃあ早速本題に入るぜ。本当なら三十分はティーブレイクを挟みたいとこだが、今回ばかりは流石に急を要する」
「──ら」
ゆとりと余裕を何よりも大切とする俺らしからぬ物言いに、姉貴とレアが怪訝そうな表情を作る。
「まず流れのおさらいだ。俺達は今週末には協会が保有するCランク
「あむ……そうね。それが何か問題でも? すいません、メロンパフェおかわり」
「大問題だ。寧ろ今まで気付かなかった自分の迂闊さに嫌気が──差さない! ああ、ちょっぴりドジな俺も最高だ!」
「いいから先に進みなさいシドウ」
姉貴に促され、佇まいを改める俺。
「計画は明日には可決される。Cランク
「順調過ぎて問題なんだ、これが」
結構は今週末。あと数日。
数日……え? 間に合うのかコレ? 無理じゃね普通に。
「まずいな。いくら俺が至高の天才でも、こればかりは……」
「珍しいわ。シドウ君が頭を抱えてる。カメラ持って来れば良かった」
「俺はフォーカスを向けられると条件反射的にポーズと表情を決めるから撮るのは無理だぞ」
「……それ、誰でもよ?」
「む、確かに」
「そんなワケないでしょ、貴方達だけよ……」
呆れ顔の姉貴。
そうかな。そんなこと無いと思うが。
「まあいい。取り敢えず結論から言わせて貰う……てか、先にひとつだけ全員に聞かせて欲しいんだが」
テーブルに座る三人を見回した後、俺は問うた。
「お前達──今、体重いくつだ?」
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