第83話 深化
「ねえ雑賀くん」
なんだ木下・カルーアブルー・悠真。
質問があるなら受け付けるぞ木下・カルーアブルー・悠真。
天才の俺は寛大だ、何でも言ってみるがいい木下・カルーアブルー・悠真。
なんだカルーアブルーって。ふざけてんのか。
「特級ってことは、サードスキルを発現させたんだよね?」
「勿論だ」
ただし濫用は危険だ。最低でも一時間は鏡の前から離れられなくなる。
「あんまり詳しくないけど、サードスキルって変身能力みたいな感じなんだよね?」
「当たらずとも遠からずだな」
発現者の各種能力を最大限まで引き出し、更には個人の適性に特化させる上で的確な形態へと昇華させる、単純な変身とは少しばかり趣と方向性が異なる代物。
あくまで元の身体がベースだからか、俺の左腕のように欠損した部位までは補填されないようだが。姉貴の尻尾やレアの翼も、背骨の一部が変質したものっぽいし。
まあ過度に物事を複雑視しても仕方ない。
変身という認識でも、十分に意味は通じるだろう。
「それがどうかしたのか」
「出来れば、ちょっと見てみたいなーって」
「なんだと」
思わず身を乗り出す。
「木下貴様、さながら大魔王とでも呼ぶべき俺の
「へ? え? いや、まあ、うん、そんな感じで」
頷く木下。
クラスメイトの大半も賛同の空気を醸し出し、併せてレアにも飛び火する。
「霧伊さんのサードスキルも見せてよ!」
「私、お兄ちゃんが協会で働いてるからちよっと聞いたんだけど、すっごいキレイだったって!」
「……なんですって」
読んでいた本を閉じたレアが、ゆるりと立ち上がる。
「厚かましくも貴方達は、天が地上に遣わせた使徒……いいえ。それ以上に美しく清らかな、最早美少女の概念が形を得たに等しい宇宙最高の宝石すら霞む私の姿を拝観したいと?」
「え……あの、そこまでは言って……」
「いいでしょう」
「ああ、構わんとも。存分に目に焼き付けて行け」
ただし先にトイレは済ませておけよ。失禁しても知らないぞ。
…………。
「と、是非とも学友達のリクエストに応じてやりたいところではあるが」
「生憎、白い塔を筆頭にしたスキル使用許可区域以外では見せてあげられないの。なんて可哀想なのかしら、ベリー哀れ」
残念至極。またの機会ってことで。
「……霧伊さんと雑賀くんって、なんだかんだルールは守るタイプだよね」
「ああいうところは普通に尊敬できるよな。それぞれ性格が別の意味でアレじゃなきゃ、本当に完璧だったのに」
「いやあ、人間誰しも欠点はあるよ」
「だな」
おいそこの貴様ら、聞こえているぞ。
アレとはなんだ、アレとは。
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