第5話 探索者支援協会(俗称)
「探索者登録申請書類の提出と、コインの買取を」
「かしこまりました。お預かりいたします」
往復一時間ほどで一階に戻った俺は、ロッカールームで一応持って来ておいた予備の義手に付け替えた後、窓口に書類とコインが詰まった地味に重い小袋を提出。
番号札を渡され、待合用のソファに腰掛けながら、なんとはなし周囲を見回した。
「来る度に思うが、ほぼ市役所だよな」
白い塔の一階にはクリーチャーが出現しない上、エレベーターに乗れない非スロット持ちでも自由に出入りが可能なため、探索者支援協会の施設として改築し、利用されている。
その探索者支援協会とは、五年前に代理政府が発足した下部組織。例によって俗称で、正式名称は別にあるが、例によって忘れた。
こういうどうでもいいところではとことん適当な性格であることは自覚してるが、この場合俺に文句を言う資格があるのはピカソのフルネームを諳んじられる奴だけだ。タイの首都でも可。
閑話休題。
探索者支援協会、縮めて協会の主な活動内容は白い塔の監視と管理。その一環として俗称通りに探索者の支援も行っており、各種登録だの申請だのの手続きや取得したコインの買取、ファーストスキルの発動媒体に必要な模造刀やモデルガンなんかを含む必要物質の販売も担ってる。
まあ小難しいことを差っ引くなら、探索者専門の役所とでも思っておけば大体あってると思う。多分な。
〔受付番号八八番、受付番号八八番のお客様。三番窓口までお越し下さい〕
ボーッとしてたら呼ばれたので、アナウンス通りに三番窓口まで向かう。
カウンター越しの椅子に座った泣きぼくろの女性職員に、軽く会釈された。
「お待たせいたしました、
「どうも」
運転免許証に似た様式の金属製プレート。
鉛色の髪の
しかしこんなもん、ふとした拍子に失くしそうだ。
パスケースにでも入れて、チェーンでベルトに繋いでおこう。
「三級の場合、活動許可区域は十階層までとなっておりますので、ご注意下さい」
スロット持ちが探索者登録を済ませる度に繰り返されただろう説明。
その後、窓口職員さんは瀟洒な所作で立ち上がると、近くのスイングドアを抜けてこちら側に回って来た。
「それでは、コインの買取書類作成が終わるまでの間に、
「了解っす」
はてさて。お楽しみの時間だ。
俺は果たしてどのクリーチャー……いや、ガーディアンを引き当てることになるのやら。
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