第6話 召喚符
当然代理政府はもっと早く知っていたが、モノがモノゆえに慎重な対応を取らざるを得なかったのだろう。
──
いや。それだけじゃない。今やこのセカイを支える根幹のひとつとすら言える。
スキルと大きく違う部分は、非スロット持ちであっても入手が可能ってところか。
尤も代理政府が定めた規定によって探索者以外が
そして例え探索者であっても、白い塔に入る時以外は協会の保管庫に預けておかなければならない。
仮にこれを破った場合、色々と厄介なペナルティを負う羽目になる。具体的な内容は忘れたが。
何故そこまで厳重に管理されるのか。至極単純な話である。
それは
「シルフかピクシー来いシルフかピクシー来いシルフかピクシー来い……ああ畜生、ホブゴブリンかよ! ティターニアまで進化させて侍らせる俺の夢が!」
「ドンマイよっちゃん。さー、次は俺……よっしゃ来た、ブラックドッグだ! これで移動がラクになるぜ!」
「三人は流石に乗れなくね? せめてガルムまでは進化させないと無理だろ絶対。つか、ガーディアンはコイン運べねーじゃん」
モノリスがある一階中心の広間まで到着すると、先客が何人か居た。
いずれも俺と同じ年頃。大方、俺とは少しだけズレたタイミングで五階層まで辿り着いて登録を済ませた同業者。
親しげに話してるところを見ると、三人でチームを組んで挑んだ模様。
まあ普通はそうするらしい。俺は星の数ほど居る友人達全員と予定が合わなかったから単独だったけど。
ちなみに協会としても探索者の数を出来る限り増やしたいため、だいぶ高いレンタル料を払えばFランクの
ひと目惚れしたモデルガンが思いのほか高かったんだ。本音を言えば借りて使ってみたかったんだが、無い袖は振れぬってな。
「どうぞ、雑賀様」
「どうも」
順番が回ってきた俺は職員さんに促され、モノリスの前に立つ。
スロット持ちが
そして二度目に触れる前に、まだ
俺はポケットから赤いメダルを引っ張り出し、モノリスに向けて弾いた。
ぶつかると同時、黒曜石のような表面が波打ち、飲み込まれて行く。
「これでFランクが最低保証。ついでにEランク以上の
通常時のモノリスが排出する
しかし赤いメダル一枚につき一回、このボーナスモードに入る。
なお、ボーナスモード中の各レアリティ排出率は、以下の通り。
F:90%
E:9.99%
D:0.009%
C:0.0009%
B:0.0001%
A:0%
要は基本、高ランクの
多少運が良くてEランク。よっぽどツイてりゃDランクにピタリ賞。
C以上は……もし当たったら、とある理由から逆に不運とすら言える。
まあ兎も角、さっさと引いちまうか。俺としてはEランクのサラマンダーが大本命で、あとはガルムあたりが来てくれると嬉しい。
Eランク
「オッチャホイ」
意味こそ知らんが何故か耳に残ってる単語を口ずさみつつ、拳でモノリスを小突く。
すると表面が再び波打ち、キャッシュカードサイズの板が一枚、裏向きで吐き出された。
そう。無事に俺の
「…………あ?」
Gなら空白。Fなら直線。Eなら三角形。Dなら四角形。
そして、俺が手に取ったカードに刻まれていたのは──五角形。
「嘘だろ、オイ」
何かの間違いだったらいいなーとか思いつつ、恐る恐る表面をひっくり返す。
それに以前リストの写しを見たことがあるため、俺はF〜Dランクに該当する合計二十一種のガーディアンは全て知ってる。
しかし。目に入った絵柄と記された名は、そのいずれとも異なるもの。
「ファフニール……北欧神話の、不死身の毒竜……」
早い話、俺が引いてしまったのは、Cランクのクリーチャーが封じ込められた
強さの枠組みとしては『局地的な災害と同等』という、大都市を四半刻で更地にしちまうほどのチカラを持った、例え探索者であっても個人所有を許されていない等級の厄物だったってことだ。
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