第17話 不穏な反応
ハテナが端末を操作すると、室内の壁が突然、真っ二つに開いた。
「!? エレベーター……?」
驚いているアイラを
「アイラさんっ」
「あっ、ま、待って!」
慌てて中に乗り込むと自動で扉が閉まった。
『ラボに行くのは久しぶりだな』
「“あの戦い”の前に魔剣を整備したとき以来」
『そっかー、もうそんなに経ったのかー。早いなぁー』
――あの戦い……?
気になるワードに首を傾げつつ、また下に降りること、約十秒。フワッと体が浮き上がる感触の後、扉が開いた。
「――え、ええぇ……」
デジタル機器に囲まれた、
薄暗い明かりは上の部屋と変わらないが、それ以外が全く異なる光景に、アイラの開いた口が閉まらない。
「こ、ここが……」
「ハテナラボ」
「自分の名前……」
地下千メートルにあるハテナ専用の研究所。
研究所と言えば、白を基調とした室内をイメージするが、その予想は大きく外れた。
「んっ、しょっと」
ハテナが上の部屋のイスよりも大きいサイズのイスにちょこんと座った。
「可愛い……」
心の本音が漏れていると、ウィーンという起動音とともに壁一面の様々なサイズの画面が一斉に点いた。
――うわぁっ、眩しっ……目がチカチカする……っ。
「これから検査するから、そこに寝転がって」
と言って指さしたのは、机の横に置かれた医療用に似た白いベッド。
「……アタシ、検査って苦手なのよね……」
『いいから早くしろ』
「わ、わかったわよ!」
言われるがまま検査用のベッドに仰向けで横になると、頭の上から爪の先までゆっくりと光が照らされていく。
「ねぇ、これって……」
「スキャニング中は静かに」
「っ……はーい……っ」
『ぷふっw』
――わ、笑うなっての……っ!
……。
…………。
………………。
かれこれ二十分が経とうとしているが、検査はまだ終わらない。
「ねぇー、まだなのー?」
「………………」
パソコンの画面をじーっと見ているハテナに声をかけたが、返ってくる言葉はない。
「……っ、ねぇーってば……っ!」
なかなか返事がないため、アイラが上体を起こして画面を覗くと、
「――――…んッ!?」
画面に映し出されていたのは、自分のボディーラインだった。さらに、その横にスリーサイズが書かれているという
「み……見んなぁあああっ!!」
慌てて立ち上がったアイラがパソコンとスクリーンの間に立った。
『おい、見えねぇーじゃねぇか』
「アンタは見なくていいの!!」
『へいへい…――バスト八十五、ウエスト五十八、ヒップ八十六かー』
「……っ!!? い、言うじゃないわよッ! アンタ、あとで覚えてなさいよ!?」
『ああぁ、覚えてたらな。……ん? どしたー?』
「………………」
ハテナは画面から目を離さず、じっとある欄を見ていた。
『? ルナ』
「あ、うんっ」
クゥールが画面を見るためにルナがハテナの横に移動した。
『……お、おぉ……こりゃ……』
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