科学になぐさめられる時Ⅱ

@jyuzokisaragi

はじめに

この小説は、元々「科学になぐさめられる時Ⅰ」をリメイクするよりも前に構想したものでした。なので初めは題名も違ったものだったはずです。ただ、本当に偶然なのですが、そんな事を考えている最中に「科学になぐさめられる時Ⅰ」の原稿が屋根裏から見つかりました。三十年も前に自分で書いた小説の原稿が、本当に偶然に見つかったのです(長男が掃除をしてくれた時に見つけてくれました。)。存在自体全く忘れきっていたものです。本当に何かの拍子とでも言えばいいのでしょうか、その原稿はひょっこりと姿を現しました。つまりその原稿は、失われた三十年間というもの、屋根裏部屋にひっそりと佇んでいた、ということです。

「原稿が見つかった」というと、何か普通のことのようにも聞こえますが、原稿用紙が三百十九枚です。段ボール片を本の綴る部分のクッション代わりにして、原稿用紙をタコ紐でしっかりと括って、お手製の製本もどきで保管状態は保たれていました。

見つかったはいいものの、そのまま放置したのでは見つけた意味はなくなってしまいます。そこで当然の流れから、デジタイズとなるわけですがどうしましょうか?当然スキャニングなどという機器は持ち合わせませんし、あったとしても、鉛筆書きの原稿用紙の日本語です。それを自動でテキスト認識するなんて芸当は、二〇二三年現在でも、結構なAI技術です。やれるところではやっているのでしょうが、一般家庭のパソコンでやるには、ハードルは高いというか、八ヶ岳というか(やれるのかなぁ?)。というわけで、全文打ち込み直しでした。パソコンと原稿用紙を両眼で交互に見比べながら、文字をただただ打ち込んでいくわけです。一文字いくらならバイトを頼めるものでしょうか。気が狂いそうになりました(それでも、休み休みで二か月弱だったかなぁ)。


違いました。話したい主題はそっちではなく、こっちでした。そうやって、やっと屋根裏のタイムカプセルの処理が終わったので、本来の作業が開始できることになりました。本作品の事です。

構想は確かに色々ある前からあったのですが、色々あった後だと、もうあった前には戻れません。仕方がないので、そのまま突入することになりました。タイトルからして影響を受けることになってしまいましたが、まぁ、同じ人間が書くのですから三十年経ってもあまり変わらないのかもしれません。もしかすると内容も続編みたいな流れになるかもしれませんが、本作は本作で独立したものです。なので、吹っ切って突っ走ろうと思います。楽しんで頂けたら幸いです。

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