第20話 幸せなひととき


ファミレスに入った僕たちは、席に座りメニュー表を見ていた。


「私はパスタにしようかしら。皆はメニュー決まった?」

朱音ちゃんの問いに対して、


「うん!僕はパフェにする~!」

今日は朱音あかねちゃんと、別の場所でパフェの予定だったが、中条君たちと合流したのでファミレスとなった。


「じゃあ俺はこのステーキかな。」


「じゃあ自分はコーヒーでお願いします。」

と、中条なかじょう君と片桐かたぎり君。


それぞれ注文し、待ってる間に少し雑談をする。


「と、というか中条なかじょう君?すごい今更なんだけどさ…?」


「ん?どうした?」

さっきから思っている疑問を、中条なかじょう君に聞いてみる。


「い、いやさ?なんで、隣なの?というか、顔近いから!?」


「あぁ、いやごめん。嫌だった?」

と言って、少し離れる中条なかじょう君。


「い、嫌というか、普通は片桐かたぎり君の隣とかじゃないの?」

そ、そうだよね?普通は同性で並んで座るよね…?


「ん~。ちょっと耳貸して。」


「…?うん。」

耳を中条なかじょう君の方へ寄せる。


(「いやさ、わたる神崎かんざきの方ずっと見てるからさ。もしかして?と思って。」)

そう中条なかじょう君に耳打ちされた僕は、朱音あかねちゃんの方を見る。


心なしか、朱音あかねちゃんの頬が赤い気がする…。え、え...!


「えぇぇぇぇぇぇ!?」


「ばっ!?声でけーよ!」

びっくりして思わず声に出して叫んでしまった。


「ど、どうしたの?薫。急に大声上げて。」

びっくりした朱音あかねちゃんが、変なものを見るような目を向けてくる。


「い、いや!?なんでもない!!」


(「な、中条なかじょう君!?それ本当?」)


(「いんや、本当かは知らん。でも、あの感じからして…。な?」)


そ、そっかぁ。朱音ちゃんが…。


「納得したよ中条なかじょう君。だから僕の隣に来たんだ?」


「そゆこと。」

「まぁ、俺も綾瀬あやせの隣が良かったし。ボソッ」


「…ん?中条君?何か言った?」


「いや、何も。」


それからしばらくして、料理が運ばれてきたので、食べることにした。


「んっ~!おいしっ!」

運ばれてきたパフェをパクパクと食べ進める。


「おい綾瀬あやせこっち向け。」


中条なかじょう君に呼ばれたので、横を向くと、


「ほれ。口にクリームついてっから。」


「あ、ほんと?ありがっ…!?」


急に中条なかじょう君が近づいてきたと思ったら、指でクリームを取ってくれて、そのまま自分の口の中に運んだのだ。


「な、中条なかじょう君!?な、なにをっ…。」

突然の事にびっくりした僕は、頭が真っ白になった。


「ん?あぁ、うまそうだと思ってな。」


「そ、そっか?取ってくれてありがとう…。言ってくれれば一口あげたのに。」


「んにゃ、これが欲しかったから。」


指をペロッと舐めながら、横目にこちらを向く中条なかじょう君に、なぜかドキッとしてしまった。



それから食べ終わっても、その余韻よいんはしばらく続いた。



(このドキッてなに…?う~ん。気づいてないだけで体調悪いのかな…。)


そう考えているうちに、皆食べ終わったみたいなので、お店を出て次の予定を話し合う。

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