第18話 地獄の始まり

 

「ちょ、ちょっと朱音あかねちゃん?ちゃんとそこに居るよね!?」

今僕は、試着室の中に居る。


「うるさいわねぇ。さっさと着替えなさいよ。周りの視線が恥ずかしいのよ。」


「ご、ごめん!すぐ着替えるね。」


なぜこうなっているかというと、

昨日までさかのぼる。


「ねぇちょっとかおる。」


お昼を食べ終わり、寝ようと机に突っ伏していた僕に、朱音あかねちゃんが声をかけてきた。


「んぅ~?なぁに~?貴重な睡眠時間がぁ~。」


「いや、寝るんじゃないわよ。あんた寝ると中々起きないんだから。」


「むっ。そんなことないよ?ちゃんと1時間くらいしたら起きてるじゃん。」

まったく、起きないとは心外な。ちゃんと起きてるもんね~だ!



「…はぁ。あんた、1時間って授業始まってるじゃない。最初は先生たちも注意してたけど、それでも寝るもんだから諦められてるのよ?」


「へぇ~!そうだったんだ。ところで、用事は?」


「まったく他人事みたいに…。そうそう。今度の土曜日一緒に出掛けない?服とか揃えておきたいでしょう?」


「う~ん。めんどくさいなぁ。土日は基本家に居たいんだけど…。」


「…あ~ぁ。美味しいパフェ見つけたんだけどなぁ。かおるが来ないなら、1人で行っちゃおうかしら?」


「えっ!パフェ!?い、行きたい!行かせてください!」

僕は甘い物には目が無いのだ。


「よしっ。それじゃあ詳しいことはまた連絡するわね。」


「は~い。」

(やった~!パフェ~!)



っということで、まんまと朱音あかねちゃんの策に乗せられて冒頭のシーンに戻る。


「ほらかおる。次はこれ来なさい。」


僕は今、男子の頃では入ることが困難だった。

下着屋さんにいる。


来て早々朱音あかねちゃんに手を引っ張られ、無理やり試着室に押し込まれた。


「あ、あの。あまり派手じゃない、目立たないやつにしてね?」

カーテンを少し開け、顔だけ覗かせる。


「はいはい。次はこれね。」


「えぇ!?まだあるのぉ!?」


30分後、上機嫌な朱音あかねちゃんに対し、私はゲッソリとしていた。


「なによどうしたの?かおる。全然元気ないじゃない。」


「そりゃ、あんな長時間も着替えてたらね。疲れるよ。」


「何言ってるのよ~!本番はこれからよ?」


「…え?ほ、本番って…?」


「え?今のは下着でしょう?その次行くとしたら決まってるじゃない。」


「…は?ま、まさか…!い、嫌だ!僕帰るっ…!」


すると、ガシッと首根っこを掴まれ、連れて行かれる。



「着いたわここよ。」


「…え?あぁ、うん。そうだよね。やっぱね。」

下着の次…。それは、私服だ。


「ま、待って?朱音あかねちゃん。私服はまた今度1行くから大丈夫!」

そう。1人で。


「あら?そんなに素っ気ない事言わないの!ほら、れっつごー!」

引きずるかのように中へ連れていかれる。



「いーやーだぁぁぁぁぁぁ…!」


そんな悲鳴?願い?も届かず、服屋の中へ消えていく二人であった。




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一部修正を行いました。


は今、男子の頃では入ることが困難だった。

は今、男子の頃では入ることが困難だった。


皆様ここまでご愛読くださり、誠にありがとうございます!

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