第17話 ギャップ


朱音あかねちゃん!大丈夫だった~?」

体調不良で3日くらい休んでいた朱音あかねちゃんが、学校へやって来た。


「え、えぇ、大丈夫よ。ありがとうかおる。」


「そっか!良かった。」

そして何気ない雑談をしていると、中条なかじょう君が登校してきた。


「おはよう中条なかじょう君~!」


「おー。綾瀬あやせか。おはよう。」

挨拶をしていると、怖い顔をした朱音あかねちゃんが、


「2人とも、そんなに仲良かったっけ?」


その言葉にギクッとした僕は、

「あ、ああ、当たり前じゃん~!友達だもん~。」


「そ?ならいいけど…」


そうやって説得していると、朱音あかねちゃんのスマホから、通知音が鳴った。


「…っ!」

スマホを確認した朱音あかねちゃんは、何やら驚いていた。


「どうしたの?朱音あかねちゃん。」


「か、かおる。ごめんね。ちょっとまだ熱あるみたい。保健室行ってくる。」


顔色が悪く、青ざめていたので、気を付けて行くように伝えた。


朱音あかねちゃん大丈夫かなぁ…ボソッ。」

そう呟いていると、ぐりぐりと中条なかじょう君に頭を撫でられた。


「わ、髪の毛崩れちゃうからやめてよ~!も~!」

(前も、撫でてくれたし、撫でるの好きなのかな?)

そう思って中条なかじょう君を見上げると、


「…っ!あーもう!」


余計にぐりぐりされた。なんで???


ーーー同時刻(神崎朱音かんざきあかね視点)ーーー


ついにきたか…。

スマホに、【保健室】と送られてきた。


つまり、これは保健室に来いってことでいいのよね?

そうして保健室に着き、ガラッと扉を開けたが、誰も居なかった。


「はぁ?呼んどいた癖に居ないとかありえない。この前の事謝らせてやるんだから。」


「へぇ~?そんなこと思ってたんですか。」


!!

いつもの真面目モードの片桐かたぎりが後ろに立っていた。

私の方が早かったのか。


すると、急に片桐かたぎりが頭を下げてきた。


「…は?」


「すみませんでした。あの時はなんとか言わせないようにと、考え付いた結果でした。本当に、すみませんでした。」


「え、いや、はい?」


まさか本当に謝られるとは思わなく、さっきから変な返しになっている。


「わ、私、ファーストキスだったんだけど…?どうしてくれるのかしら?」


「!!そうだったんですね。すみません。ですが、僕も初めてですよ。あなたが。」


(ふ~ん?そうだったんだ。そっか。…ん?そっか???)


「いや、だからなんなのよ!」


「おっと。そろそろ時間になりますね。それでは…。」

と言って去ろうとする片桐かたぎり


「ちょ、ちょっと!何逃げてr「あぁ。それともう一つだけ。」…なによ?」


「俺、好きじゃねぇ奴にキスしねーから。」


「は…?それって…。て、ていうか口調…。」

そ、それってつまり…私の事…を?


「…ニコッ…それでは失礼します。」

笑って去る片桐かたぎりに私は、


「も、もう!なんなのよー!!!」


コロコロと変わるギャップに耐えられなくなった私は、床に座り込み悶えていた。



……片桐かたぎりの耳がほんのり赤い事にも気付けずに。

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