第13話 睨みあい

放課後になり、荷物をまとめて帰ろうとすると、


綾瀬あやせ~。一緒に帰ろうぜ~!」

と、中条なかじょう君からお誘いを受けた。


「えっ!?う、うん。いi…「だめよ。」…!」

後から、朱音あかねちゃんの声が聞こえたので、びっくりして振り向いた。


かおるは私と帰るのよ。」


「え?そ、そうだっk「かおるは黙ってなさい。」…はい…。」


朱音あかねちゃん、僕の扱いひどくない…?


中条なかじょう君と朱音あかねちゃんがにらみ合っている。火花を散らしているように見える。


「いやいや。朱音は今日ずっと綾瀬あやせと居たろ。いいじゃん帰りくらい!」


「はぁ~?あんたと一緒じゃかおるが危ないから。だから私と帰るのよ。」


あ、危ない…?

何が危ないのだろうか?

っあ、あれかな?中条なかじょう君。見た目が怖いから、他校の人に絡まれるとか?それならちゃんと訂正しないとね!


「あ、あの。朱音あかねちゃん?」

そっと手を小さく上げ、話していいか許可を取る。


「なによ?」

どうやらいいみたい。


「あ、あの。中条なかじょう君は、見た目は怖いけど良い人だよ?」

すると、中条なかじょう君と朱音あかねちゃんは顔を見合わせ、呆れたような表情をこちらに向けた。


綾瀬あやせ。あのなぁ…。」

かおる…。ここまでバカだったなんて…。」


「え、っえ?バカは余計じゃない!?」


「いいのよ。本当の事なんだもの。しょうがない。今日は皆で帰りましょうか。」


「…そう…だな。わたるも呼んでいいか?」


「構わないわよ。」


いまだわかっていない僕は、困惑しながらも、帰ることにした。



「今日はありがとね。皆!楽しかった!」

皆よりも少し前の方に進み、振り返りながらニコっと笑うと、


「っ…お、おう。」

「まったくもう。この子ったら…」

「………」


中条なかじょう君は顔を赤くし、朱音あかねちゃんは呆れながらも、嬉しそうにしていた。

片桐かたぎり君はというと、本を読んでいた。


「…?中条なかじょう君。顔赤いよ?やっぱり熱ある?」

心配になり、中条なかじょう君のひたいに手を当てるが、バッと逸らされた。

心做こころなしか、耳が赤い気がする。どうしたんだろう?


かおる。あなたはバカだけじゃ飽き足らず、、アホにもなったのかしら?」


「え、なんでなんで!?熱あるか確かめただけだよ!?」


「もういいわ。ほらほら。早く帰るわよ。」

朱音あかねちゃんは諦めた様子で、僕の手を引っ張って歩き始める。


う~ん?

中条なかじょう君、何か変なんだけどなぁ~?



まっ、いっか。

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