第12話 変な友人(神崎朱音視点)



初めて見た時の印象は、【情けない】だった。

男のくせに、声も掛けられず、しまいには寝たふりもする。


今まで会ってきた男の中で、いちばんだと言えるほど弱い。


そんな彼?彼女?はというと、中条なかじょう片桐かたぎりの二人と仲良く話している。



過去に戻りましょうか。


あの日は体力測定があり、ペアを作る必要があったの。

だけど、あの子はとにかくオドオドしていて、周りからは話しかけずらいオーラが出ていたの。


心配だったから、私から話しかけた。

でもね?彼女は何か考えている様子で、こっちの話を全く聞いてくれなかったわ。


我慢できなくなった私は、彼女の肩に触れた。

そしたら、ビックリして噛んでるの。


フフッ。少し面白い子でしょう?


それから私たちはなんとかペアを組み、ストレッチや体力測定をしたんだけど。

あの子、本当に元男なのよね?

握力が、バカみたいに弱かったわ。

女子の平均が25kgとか26kg。男子の平均が36kgと、37kgなのよ?


それに比べ、あの子は21kg。

ちょっと弱すぎないかしら?

女子になってから、色々弱くなっているのかもしれないわね。。


けれどね?彼女と行動していて、不思議と楽しかったの。

ちょっとしか一緒に居なかったけど、とても有意義な時間だったわ。


でも、ここからがもっと面白いのよ?

計測が終わって、まだやっている子たちを見ていたら、急に彼女が


「友達になってくれませんか?」って。


ついびっくりしちゃって、笑うなって言われてたのに、笑ってしまったわ。

私からしたら、もう友達だと思ってて。

それを伝えたら泣いちゃったのよ。


そんなに嬉しかったのかしら。

ただ、周りの見る目が気になるから、早く泣き止んでくれないかしら。


体育が終わって着替えてるときに、彼女の下着が派手だったのよ。

どうやら急遽お母さんに借りたらしいけど…。


彼女、まるで雪のように肌が白いから、黒が目立つのよね。

というかそれ、勝負下着ってやつじゃないの?

なんてもの着せてるのよ。かおるのおかあさん…。



これは…。今度の休日に色々買い揃えるように言おうかしら。


教室に戻ってきた私は、さらに驚くことになったわ。

周りの男子が、一点に集中してるから、何事だと思って視線の先を見たの。


そしたらかおるが、制服のお腹あたりを摘まんで、仰いでいたのだ。

たまに見えるおへそが、男子の目を釘付けにしていた。


急いでそれをやめるように注意し、彼女が何をしでかしたか、自覚させた。


その後はお昼を食べるのだけれど、


中条なかじょうが呼んだ片桐渉かたぎりわたるって男…。

なーんか猫かぶっている気がするのよねぇ…。

作り笑いなんてしちゃって。


そんなのが私に通用するとでも?


…。まぁ、かおるに影響が無いならいいわ。


それで、今ってわけ。かおるがバカしないように見張っとかないと…。


朱音あかねちゃ~ん!こっち来てお話しよ~!」

と、早速薫かおるが来たわね。


「はいはい。私はどこにも逃げないから。急かさないでちょうだい。」



それじゃ、みんなまたね。



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