第9話 今日から(中条涼真視点)



今日は待ちに待った高校の入学式だ。


中学で友達だったやつも、何人か一緒に来ている。


昇降口前で自分の教室を確認し、わくわくしながら向かう。


そして、扉を開け、元気に挨拶をした。


「みんなおはよーう!!これからよろしくなー!」


「お~。元気な奴が来た。」

「こちらこそ、よろしくな~。」

一通り挨拶を終えると、見知ったやつが教室で寝ていた。


(ん~。たしか綾瀬あやせ…あぁ、かおるだ。綾瀬薫あやせかおる。)

中学ではあまり話さなかったが、体育でよくコケたり、ボールが頭に当たったりと、危なっかしい奴だった気がする。


そして放課後。


「…ん?あれって綾瀬あやせか?」

なにやら、大量に積まれた教材を、フラフラと1人で運んでいる。


そんな危ない状況に、手伝おうと声を掛けようとしたその時だ。

綾瀬あやせが階段で足を滑らせたのだ。


(嘘だろおいっ。)

急いで綾瀬あやせの元へ行き、助けに入る。


・・・・・・ドサッ


なんとか下敷きになって助けられたみたいだ。


その後は教材を拾い、教室まで運ぶのを手伝った。


そして、帰る際に思い出し、

「お前、中学の時から危なっかしいんだから、少しは気ぃつけろよ~」

(ただでさえ危なっかしいのだから、忠告くらいはしとかないとな。)


なにやら綾瀬あやせは驚いていたが、忠告されるとは思ってなかったのだろう。


よし、じゃあ帰って漫画の続きでも読もうかな~。


そして家に帰り、一通り用事を済ませ、漫画を手に取る。



俺が読んでいる漫画は、

【事故った俺は、目が覚めたら女の子!?】

といういわゆる逆ハー?ってやつか。

簡単に紹介すると、事故を起こした鈍感系主人公が、気付いたら女の子になっており、様々な男子に告白されるという物語だ。


正直、相手は元男だぞ?

そいつを好きになるとか、どうなんだ?

まぁ、漫画だからなんでもありか。


「実際に現実で起こるわけないし。起こったとしても、相手は元男だ。好きになるわけがない。」


そういって閉じた漫画を机に置き、ベッドへと入り、今日あった事を振り返っていた。


綾瀬あやせ…か。中学では話さなかったが、実際話してみるといいやつだな。」


高校では友達になれるといいな…。




そうして、深い眠りへと落ちていくのだった。

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