第8話 初めての女友達


「だってさかおる。どーせペアでやるんだし、このままやりましょ。」


「え?いいんですか?ありがとうございます。」

朱音あかねさん…!優しい~!)


「ていうかさ、その敬語とさん付けやめない?気持ち悪いんだけど。」


(ん?あれ。や、優しい…?)


「わ、わかりまs。ん゛ん゛!分かった!じゃあ一緒に体力測定やろ~!」

僕は、つい嬉しくなって朱音あかねちゃんに笑顔を向ける。


「っっ!え、えぇ。やりましょう。」

「この子、無自覚でこの笑顔向けてるのかしら…?ボソッ」

なにやら朱音あかねがボソボソとつぶやいている。


「…ん?朱音あかねちゃん~?何か言った?」


「い、いや。なんでもないわ。それより早く測りましょう。」

そういって、朱音あかねちゃんは口に手を当て、顔を赤くしながら歩いて行った。


朱音あかねちゃんも熱なのかな。自分も気を付けよ~っと。)


測定が終わり、周りの人が終わるのを、朱音あかねちゃんと話しながら待っていた。


朱音あかねちゃんって、どうして僕に声を掛けてくれたの?」


「う~ん。そうねぇ。特に理由なんてないわ。組みたいと思ったから。それだけよ。」

朱音あかねちゃんはまだ終わってない人達を見ながら言った。


「そっか。」

理由なんて特にないのか。それが普通なのかどうかは、僕にはよくわからなかった。


「ねぇ。朱音あかねちゃん。」


「ん~?どうしたのよ?かおる。」

僕は朱音あかねちゃんの方を向くと、朱音あかねちゃんも、こちらを向いた。


「わ、笑わないで聞いてね?」


「…?えぇ。分かったわ。」


「あ、あのね…?僕と、友達になってくれませんか…?」

すると朱音あかねちゃんは、目を見開き笑い始めた。


「な、なんで笑うの!分かったって言ってたじゃん!?」

僕は怒って、頬を膨らます。


「あははは!はぁ、ごめんなさい。面白いことを言うんだなぁと思って。」

笑い泣きした涙を人差し指で拭う朱音あかねちゃんを、不安げに見ていると、


「もう友達だと思っていたわ。そう思ってたのは私だけなのかしら?」


「えっ!?も、もう友達だったの!?」


「そうよ?だから、そんな不安そうにしないで?」


「う、う゛ぅ…あ゛り゛がと゛う゛~!」

つい嬉しくて、涙が出てしまった。

なんとか泣き止もうと、目を擦るが、その時暖かいものに包まれた。


「ほらほら。泣き止みなさいな。私が泣かせたみたいじゃないの。」


朱音あかねちゃんが抱きしめてくれていたのだ。


「う~。これからもよろしくね?朱音あかねちゃん!」


「はいはい。これからもよろしく。かおる



こうして、女友達ができた綾瀬あやせであった。

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