第6話 友達?


「…い…きろ…やせ…」


…ん~?なんだ?何か聞こえる。


「おい。起きろ綾瀬あやせ~。」


声が聞こえ、目を開けると、


「んっ!?な、中条なかじょう君!?」

中条なかじょう君の顔が目の前にあった。


「お、やっと起きたか綾瀬あやせ。何回呼んだと思ってんだよ。」


その言葉に、

「あはは…。ご、ごめん。それより、どうしたの?」

何か用があるのかと思い、目をこすりながら聞いてみる。


「いや、次体育だから、着替えないとだろ?」


あ、そうか。

わざわざ起こしてくれたのか。


「ん、ごめんなさい。起こしてくれてありがとう。」


「謝らなくても、気にしてないからいいぞ~。」

そう言い、中条なかじょう君はニコッと笑った。


まだボーっとする頭で、ジャージに着替えようと服に手を掛けたところで、


「ちょ、おい綾瀬あやせ!」

真っ赤な顔の中条なかじょう君に手を止められた。


「…え?な、なに?着替えられないんだけど…?」


「いやいやいや!?お前、今女子だからな!?何普通に脱ごうとしてるの!?」


・・・?・・・!?!?


「わ、ごめん!ほんとにごめん!まだ寝ぼけてて!」

そうだった!この姿だったの忘れてた!

うわぁ…。てことは、中条なかじょう君に止められてなかったら…。


「ほ、ほんとにありがとう!着替えてくるね!」

顔に熱が集まるのを感じながら、走ってトイレへ行く。

さすがに女子更衣室へ入るのはマズイと思ったのだ。


「よし、こんな感じ?」

トイレの鏡で髪をポニーテールにした僕は、授業に遅れないように、早歩きで体育館に向かった。


「ん?あれって…。」

その途中に中条なかじょう君も、歩いているのが見えた。


中条なかじょう君~。」


「ん?お、おぉ。綾瀬あやせか。ポニテにしたんだな。」


「うん。動くのにロングだと邪魔になっちゃうからね。」

(なんか顔赤いな…。やっぱり熱なのかな?聞いてみようかな。)


「ねぇ中条なかじょう君。顔赤いよ?熱あるの?」

熱を測ろうと、自分の手を中条なかじょう君のひたいに当てる。


「っ!?おい綾瀬あやせ。別に熱なんてねぇから。とりあえず離れろ。」


「っあ、ごめんね?馴れ馴れしくて。とりあえず、熱は無さそうだし、大丈夫かな?」

(あ、やば。もう予鈴なった。急がないと。)


「じゃあ中条なかじょう君!授業始まっちゃうから僕先行くね!」


中条なかじょう君にそう告げた僕はニコッと笑い、走って体育館に向かう。


「お、おぅ。俺もすぐ行く。」




~こうして2人の学校生活は幕を開けた~

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