第5話 新生活


「はぁ。」

ため息をつきながら、自転車を漕ぐ。


行きたくないなぁ。

昨日まで男子だった人が突然女子。

信じられる?こんなの。


「でもなったもんはどうしようもないしなぁ。」

覚悟を決めるしかない!


そうしてなんとか学校に着いた僕。

廻りからの視線が怖い…。


「誰?あの子。昨日居た?」

「めっちゃ可愛いじゃん」

「おい、見ろよ。銀髪だぞ。」


色々な小声話が飛び交っていた。

そんな声から逃げるように、走って自分の教室へ行く。


ガラッ・・・シーン・・・

扉を開けると、さっきまでざわついていた教室が一気に静かになった。


デスヨネー。突然こんなやつが入ってきたら静かになりますよねぇ~。

クラスメートや、中条なかじょう君も、こちらを見て愕然としている。


「お、おはよう…ござい…ます…。」

と挨拶をし、自分の席に着く。


すると、そこに中条なかじょう君が、


「えーっと、すみません。そこ綾瀬あやせってやつの席なので、間違えてますよ。」

と、伝えてきた。


「あ、あの。僕が綾瀬あやせ…です。綾瀬薫あやせかおるです。」

すると中条君は目を見開き、


「・・・え?嘘だろ?じゃ、じゃあ昨日何があったか説明できるか?」


その問いに対し、昨日の放課後にあった事を話した。


「あはは、マジじゃん…。マジか!綾瀬あやせなのかよ!」

と、笑いながらも信じてくれたみたいだ。


「うそ!?綾瀬あやせ!?」

「いやいや、昨日まで男だったろ!?」

「あれが綾瀬あやせ君!?すっごい可愛くなってるじゃん!」

「結婚したい。」


…ん?最後に変な奴がいたが、みんな驚きながらも、信じてくれた。


それからしばらくした時、先生も驚いていたが、しっかりと事情を話したら信じてくれたみたいだ。


そして時は過ぎ、今は授業中。

僕は眠気に襲われながらノートをとっていた。


頭を振り、気分転換に外でも見ようと左を向いた時、

中条なかじょう君と目が合った。


(ん?なんだろう?)


不思議に思い、首を傾げ、小さく手を振った。


・・ニコッ・・・フリフリ・・・・


・・・・ッ!!!バッ・・・


すると、それに気が付いた中条(なかじょう)君は、顔を真っ赤にしながら背けた。


(あれ?どうしたんだろう?熱でもあるのかな?)


綾瀬あやせ本人は気づいてないが、周りから見たらめちゃくちゃ美少女である。


授業に集中するため前に向き直るが、結局眠気に勝てず、寝てしまう綾瀬薫あやせかおるであった。

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