第3話 いつも通り…?


「あっぶな…」


…?あれ?痛くない…。

というか、今の声…


「え!?な、中条なかじょう君!?どうしてここに!?」


「いや、綾瀬あやせが重そうなの運んでるからさ。手伝おうと思って。」

「それで、声かけようと思ったら急に足滑らせてて。ビビったわ~」


僕も足滑らすとは思ってなかったからなぁ。


「ん、拾うの手伝うよ。」

と言い、落ちた教材を拾い始めた。


「あ、ありがとう…。」

(くそ~。こりゃ人気No.1なのも納得だ。)


「それで?これどこまで?」

教材を半分持ってくれた中条なかじょう君が聞いてきた。


「え?いや、悪いよ。後は平気だから、僕が持つよ。」


「いやいや、ここまで手伝ってあとよろしく~。なんてそこまで冷たくないよ俺。」


「そ、そっか?じゃあ自分たちの教室までお願いしてもいい?」


「はいよー」


そして、雑談をしながらしばらく歩いていると教室に着いた。


「これここ置けばいい?」


「うん、手伝ってくれてありがとね。」

お、重かった…・


「いいってことよ~。…それじゃ、帰るとするかぁ。」


「そうだね。今日はありがとう。またね。」

中条君の背中を見送り、ため息をつく。


「はぁ。よりによって助けられてしまうとは。」


独り言のように呟いていると、


「あ、そうだ綾瀬あやせ~」

突然、思い出したかのように、後ろを振り返る中条なかじょう君。


「お前、中学の時から危なっかしいんだから、少しは気ぃつけろよ~」

と言いながら帰っていく。


・・・・・は?今なんて言った?

中学の時…?


え?それはつまり、中学の時から見てたってこと?

・・・なぜ?


「まぁ、どうでもいいか。」

そこまで仲良くもないし。話すこともそんなに無いだろう。



そうして家に帰り、お風呂や夕飯を済ませ、いつも通りベッドへと入る。


「はぁ。入学早々大変な1日だったな…」


今日の事を振り返っていると、自然と瞼が重くなってきたので、そのまま寝ることにした。

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