第13話 汚染

立宮彩花は...昔から俺に懐いていた。

だからこそ懐き過ぎている為。

俺を阻害する人を絶対に許さない性格だった。

その為。

浮気された事を激高していた。


「お兄ちゃんは甘すぎる。...私は絶対に許さない」

「...彩花。分かる。気持ちは分からんでもない。だけど殺人だけは止めろ。マジに」

「しないけど。...だけど浮気の件を暴露するぐらい構わないでしょ」

「...確かにな」

「でしょ?という事でネットには流したけど」

「早いなお前」


「反応が楽しみだねぇ」と歪んだ笑みを浮かべながら彩花はスマホを観ていた。

そして俺はお茶を出す。

正直...アイツの事は許せない。

だけどここまでするのはコイツだからだろう。


「気持ち悪いもん。だって。浮気してしかも外でセックス?馬鹿じゃないの。死ね」

「...そうだな。だけどここまでするのはお前だけだよ。...有難うな」

「私は許し難い人達に鉄槌を下しているだけだしね」

「...」

「そんなもんだよ。世界って」


そして彩花のスマホには通知が沢山来た。

半分は賛同。

半分は妬み。

半分は反対意見。

だがその中でも最も反応があったのが。


「何コイツ?」

「...うん?」

「...(悪く言うな)だって。賛同しているの?気持ち悪い」

「...」


誰だろうか。

そう思いながら彩花のスマホを観る。

そこにはTと書かれている。

何だコイツ?


「気持ち悪いね」

「...」


少しだけ気になったが。

この時は気にも留めなかった。

そして俺達は世間話とか他愛無い話を弾ませてから翌日を迎える。

朝になってドアを開けて俺は衝撃を受けた。



「おはようございます」

「...何をしている。千尋」

「見て分かりませんかね。少しだけお話をしたいです。だから来ました」


何故か家の前に有山千尋が居た。

俺はその姿を見ながら「...話とは何だ」と聞いてみる。

すると有山千尋は「妹さんは?」と聞いてくる。

俺は「居ない。部活でな」と答える。


「...そうですか。...じゃあまあお話しましょう」

「良いけど手短にしろ。...時間が無い」

「そうします。私も時間が無いので」

「...で。話ってのは何だ」


すると千尋は「貴方達はろくでもない事をしてませんか?」と聞いてくる。

俺は全くその言葉が分からず「なんのこっちゃ」と聞いた。

「知らないとは言わせません。...私達は被害を被った」と死神の様な目になる。

そして素早くスマホを操作した。

それから「これ貴方の妹さんのアカウントですよね。否定しないで良いですので」と差し出してくる。


「...そうだな。...妹のアカウントだ」

「...あまりにもふざけすぎじゃないですか?私達を舐めているんですか?」

「いずれにせよ全ての悪の根源は弓だ。だから俺は何とも思わないから暴露した」

「あまりにふざけ過ぎです」

「...繰り返すが俺はそうは思わない」


「では質問を変えます。お姉ちゃんと家族の事を考えた事有ります?」と言う。

俺はその言葉に「...」となる。

すると千尋は「あまりふざけた真似をすると貴方も許せなくなるので」と笑みを浮かべる。


「...どういう意味だ」

「殺されても文句は言えません」

「やれるものならやってみると良い。...そんなの日本の法律が許さない」

「...そうですねぇ。いや。そういう殺されたではないです。社会的に抹消されても文句は言えませんよって話ですよ」

「同じだ。個人情報保護法を舐めるな」

「...それって今の貴方が言えます?」


そして千尋の顔は歪んでいく。

醜く激高した様な複雑なピエロの様な顔をしていく。

俺は「...悔い改めるのはお前もだ」と言う。

すると「前も言いましたけど私達って何か悪い事しました?」と言ってきた。


「...それも繰り返す。浮気しただろ」

「それが何が悪いんですか?」

「悪いよ。...お前は未熟すぎる」

「...言いますね。本当に腹立ちます」

「...もう一度言うが時間が無い。じゃあな」


千尋を見ながら俺はそのまま歩く。

そして背後を見る。

千尋は俺を見ていた。

俺はその顔に「いい加減に大人になれ」と言った。

千尋は「...」となったままだが無言で俺を見ていた。



丁度、今日はアイツ。

つまりは星空は部活だった。

だから先に行った。


居なくて良かったと思う。

こんなろくでもない場面に遭遇するぐらいなら。

その日は昼休みになった。


「お前も格好良いな」

「...格好良いっていうか当たり前の制裁だった」

「そうだね」

「...まあでも妹もやり過ぎではないかって面もあるけど」

「だけど先に浮気したのは相手だろ」


日向はそう言う。

渚もその意見に賛同しながら頷いていた。

俺はその2人を見ながら何となく救われた感じがした。

そして俺は考える。


「...日向。渚。お前らならどうする」

「...俺はネットにばらしてしまうと思う」

「私も許せないし」

「...そうか」


そして俺は2人を見てから「...」となる。

それから俺はまた考え込んだ。

今日は流石にお弁当は望めないので昼食を買ってから俺は食べる。

有山達の事を考える。

何故あんなに歪んでいるのか...気になってしまう。


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