第9話 姉妹
☆
私は死のうと思った彼を...心から救いたい。
その一心で私は動いていた。
それから私はデートの約束をした。
そして私は優くんと話をしてからスマホを置いてから笑みを浮かべた。
「えへへ。デートかぁ。デート。あはは。うーん」
そんな事を言っていると「お姉ちゃん。変な声出さないでよ」と声がした。
それから苦笑して私を見てくる一星。
私はその姿に「勝手に入ってこないでよ」と赤くなる。
一星は「お姉ちゃんが悪い」と口をへの字にしながら寄ってくる。
「どうしたの?」
「デートの約束しちゃった」
「へぇ!おめでとうだね」
「うん。有難う。一星」
「正式に付き合う事になったんだよね?」
「うん。彼氏彼女関係。恋人だよ」
そう言いながら私は「えへへ」と声を弾ませながら恥じらう。
すると一星が「あの時。お姉ちゃんが引き篭もった時。お姉ちゃんが心配だった。だけど成長したね。お姉ちゃん」と言う。
情けない過去話だ。
「容姿がどうとか成績がどうとか煩いよね。私は許せない」
「確かにね。私も許せないけど。だけど嫉妬する輩はそういうもんだから。ね」
「お姉ちゃんがここまで戻ってくれて嬉しい。だけどこれは話したの?おにーちゃんに」
「話してない。私の過去なんて所詮は情けない過去だし優くんの今が大切。だから私の過去なんてどうでもいい」
「まあそうなんだけどさ」と言う一星。
私はイラッとしている様な彼女を見ながら「人を恨むのは簡単だけどね」と呟く。
すると一星は「...だけどいじめをした連中は今でものうのうと暮らしている。許せない」と言った。
「おにーちゃんの浮気相手も許せない」
「...」
一星にも家族にも全て話した。
優くんの彼女の浮気相手の事も全て洗いざらい話した。
するとお父さんは「...彼に寄り添ってあげてほしいね」と笑顔になる。
お母さんも「寄り添ってあげて」とニコッとしていた。
「...一星」
「うん。何?お姉ちゃん」
「私が幸せになるのが本当の復讐になる。私は必ず幸せになるから。だから見ていてね」
「お姉ちゃん...」
「貴女が思っている以上に私は大丈夫。必ず私は復讐する。全てに。それは幸せになる事だ」
そう言いながら私は静かに外を見る。
それから私は「もうちょっとしたらお風呂に入ろうか」と話す。
一星は「だね」と返事をしてくれた。
そして私達は少しだけ遊んでからお風呂に入ってからくつろいだ。
☆
かつて引き篭もりだった時期。
私は全てを呪った。
だけどそれが全てなのか?と考えた。
だから今の私がある。
「お姉ちゃん。勉強教えて」
一星はそう言いながら勉強道具を持ってくる。
私は「私も勉強しようかな」と言いながらリビングに勉強道具を持って行く。
それから黙々と勉強した。
すると1時間ぐらいした後に一星が「お姉ちゃんはおにーちゃんの何処が好きなの?」とニヤニヤしながら聞いてきた。
私はその言葉に「え!?」と動揺する。
「うん。好きな所だよ」
「も、もう。ふざけないで」
「ふざけてないよ。私は真面目に聞いてる。お姉ちゃんが大切に想っている人だし」
「うーん...」
私は考え込む。
それから私は紙にぐるぐるとシャーペンで書きながら答えた。
「彼の優しさ」という感じで、だ。
すると一星は「そっか」と微笑んだ。
そして私を見てくる。
「私は心底嬉しい」
「...?」
「お姉ちゃんを貰ってくれた人が居て。私はとても幸せだよ。私は幸せすぎる」
一星は涙を浮かべた。
それから涙を流す。
私はその姿を見ながら「!」となる。
一筋の涙を流してから「色々あったね」と話す一星を私は抱きしめた。
それから私は複雑な顔になる。
「一星。泣かないで。お願い」
「だけど...涙がでる。本当に良かった」
私はそう言う一星を見ながら「ね。一星」と言ってから立ち上がる。
一星は「?」となりながらティッシュでゆっくり涙を拭う。
その姿に声を掛けた。
「何か買いにコンビニ行かない?」
という感じで、だ。
すると一星は「!...うん。お姉ちゃんが行くなら」と言ってくれた。
私はその言葉に笑みを浮かべながら「じゃあ行こうか。夕暮れだから早めに家に帰ろう」と言いながらウインクする。
「お姉ちゃん」
「何?一星」
「私、お姉ちゃんの妹で良かった。本当に」
「...そう?ありがとう」
それから私達は準備をしてから家を後にする。
そして私達は近所のコンビニに向かう。
そうしてコンビニに入ってからアイスコーナーに目をつける。
一星は「うーん。高いアイスが食べたいけどお金が勿体無いかな」と呟く。
私はその顔に「気にしなくて良いよ。今日だけは好きな物を買ったら良いと思う」と声をかけた。
「お姉ちゃん?」
「今日は高級な物でも文句言わない。だって今日は本当に救われたから。貴女に」
「そうかな...私は何もしてないよ?」
「励ましてくれただけで救われた。だから今日は私の奢りだよ。一星」
そう言いながら一星を見る。
一星は恥ずかしそうな態度をとりながら「お姉ちゃんが言うならバーゲンダッツが良い」と一星は選ぶ。
私も「やっぱりバーゲンダッツだね」と話しながらバーゲンダッツを選ぶ。
「お姉ちゃん」
「ん?どうしたの?」
「何でもない。有難うね。お姉ちゃん」
「変な一星。あはは」
「そうだね。お姉ちゃんの事、また好きになったかも。なんていうか妹として」
「...私も一星は好きだよ?妹として」
「じゃあ以心伝心だね」
私達はクスクスと笑い合う。
それから私は一星の持っていたアイスと私のアイスを購入してから表に出た。
星空が輝いていた。
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