第2話 星座が瞬く時空
☆
「星空の様に綺麗だな。星座が紡いでいるみたい」
そんな言葉を優くんから受けた時。
私は彼の事が気になってしまっていた。
それはまあ恋とかじゃ無いんだけど。
何というかその時まで私は彼の事が気になっていた訳じゃ無い。
彼の事を結構、気に掛けていたという訳でも無い。
だけど私はふとしたきっかけだった。
優くんが気になり始めたきっかけはそんな些細で単純なものだ。
本当に単純なものだったから...有り得ないと最初は思っていたのだが。
それは違った。
そんな優くんは彼女に裏切られたという。
私はその言葉を受けて衝撃を受けながら喫茶店の前に来る。
それから私は優くんを見た。
優くんは柔和になりながら「今日は有難うな」と言ってくる。
「...気にする事は無いよ。...私も...たった2分の誤差で救えて良かった」
「ああ。んじゃ」
そして私は優くんを見送る...事が出来なかった。
私は優くんに抱き着いた。
背中から思いっきり、であるが。
すると優くんはビックリしながら私を見る。
「...やっぱり無理」
「...な、何が?」
「とても心配。家に来て。...お話ししよう。少しだけ」
「...無茶言うな。もう時間も夕方に近付いているぞ」
「嫌だ。私は帰宅させたくない」
「我儘を言うな」と言われるが。
私はこのまま彼を家に帰した場合。
自殺するかもしれない可能性がある事を配慮して家に帰せない。
今日は家に帰らせたくない。
どうしたら良いのか、と思った中でピンときた。
「...ねえ。泊まらない?ウチに。絶対にお父さんもお母さんも喜ぶから」
「ば、馬鹿言え!?お前はもう17歳だろ!俺もだけど」
「優くんと一緒なら恥ずかしくないし。裸を見せ合う訳じゃ無いんだから」
「し、しかし年頃の男が女と一緒ってのは...しかもまだ別れてない」
「そんなの幼馴染だったし。...それにその女の子は浮気したんでしょ?じゃあ浮気しても良いじゃない」
優くんは真っ赤になりながら「い、いや。やっぱり良いよ。帰る」と言い放ち踵を返して帰ろうとしたその手を私は握る。
そしてハッとして離した。
何をしているのか。
恋人でも無いのに...危ない。
「...泊まって行って。お願い」
「しかし明日も学校...」
「お願い」
「...わ、分かった」
泣きそうな目になっていた。
必死に縋っていた。
このまま家に帰した場合。
絶対に彼は何かをしてしまう。
それは絶対に...ん?
これではまるで。
「え?私...もう諦めたのに優くんが...?」
「...え?どうした?」
「い、いや何でもない」
「...変な奴だ。提案したのはお前だろ。全く」
「ま、まあそうだけど...だってこのままじゃ優くん...」
「知ってる。死んでしまうんじゃないかって思っているんだろ」
「...うん」
私は涙を拭う。
心臓がバクバク、バクバクする。
ずっと高鳴っている。
まさか。
彼には彼女が居る。
そして私が付け入る隙は無い筈だ。
なのに。
「...ねえ。優くん」
「...何だ?」
「...私...あ、いや。何でもない」
「?...変な奴だ」
それから私達はその場で別れた。
着替えとか用意して来る為に。
私は嬉しくなって家に帰ってから直ぐにお父さんとお母さんと妹に伝えた。
するとお父さんとお母さんは「じゃあ先ずは相手様の許可を」と言ってから電話してくれた。
☆
私は心臓をバクバクさせて脈拍を高鳴らせてから玄関でソワソワしているとインターフォンが鳴った。
直ぐにドアを開け放つ。
すると「うお」と言いながら優くんが居た。
私は「えへへ。どうこの服」と言う。
「え?それ普段着?」
「違うよ。優くんが来るから買った」
「ええ!!!?!」
「だって待ちきれないし。早く上がって」
「...あ、ああ」
考え込む優くん。
何で考え込んでいるのか分からなかったが見ていると「あー!!!!!お兄ちゃんお久しぶり!!!!!」と中学2年の甘えん坊の妹がやって来た。
名前を菅原一星(すがわらいつぼし)という。
その顔を見た優くんは「大きくなったな。お前も」と言う。
よく3歳の時に遊んでもらっていたから。
彼女も覚えている様だ。
「お兄ちゃんも大きくなったね。...たくましくなった!!!!!」
「おう。そうだな」
「もー。背中に縋らない」
「嫌。この場所は一星のものー」
「...全く」
そう言う私は苦笑する。
すると優くんは「招いてくれて有難うな」とニコッとする。
「でも半分私の願いだったけどね」と苦笑い。
奥からお父さんとお母さんがやって来た。
「叔父様。奥様。お元気そうですね」
「ああ。年取ったね。俺も君も」
「そりゃそうでしょう」
「アハハ。...で。話は変わるが君達はいつ結婚するのかね」
「はぁ!!!!?ちょっとお父さんいきなり止めて!?」
「け、結婚ですか。実は...」と言い淀む優くん。
その顔を見てから私は「実はね。優くんには彼女が...」と言ったが途中からニヤッとしてから「彼女居ない。私が彼女になろうって話をしているの」と嘘を話す。
当然だが優くんは呆れる。
「え!?」という感じで、だ。
「...ほう。それは」
「良い話じゃない!10年間も彼氏作らなかったんだから」
「おねーちゃん良かったね!」
話が誤解されたが私は嘘は吐いてない。
だって私は...きっと。
彼が...好きなのだから。
だから嘘は吐いてないのだ。
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