現在の付き合っている幼馴染の女に浮気されて絶望的すぎるもあり死のうと思ったら昔の幼馴染に逢ったのだが...?
アキノリ@pokkey11.1
第一章 死のうとした時
死んでやるよクソッタレが
第1話 「貴方が死ぬなら私も死にます」
午前10時35分発の列車で俺は死ぬ。
というかもう自殺する。
幼馴染の有山弓(ありやまゆみ)。
俺の現彼女に裏切られた。
衝撃的すぎた。
野外で別の男と性行為なんぞするか普通。
猿かお前は。
そう思いながら俺は拳を握り締めて「弓。お前に最後のプレゼントをしてやる。鞄に全て暴露したノート...死んでやる」と呟く。
すると。
「立宮くん?」
電車到着まであと2分という所でそう声がした。
俺は「?」を浮かべて絶望的な顔をしていたがまさかの事態にハッとした。
そこには腰まである黒髪を持った少女が居た。
顔は小顔であり目鼻立ちが整っており。
美少女である...ん?
「...君は?」
「星空だよ。...久々だね」
「...星空...お前...めっちゃ可愛くなったな」
「うん...え!?」
「...」
菅山星空(すがやまほしぞら)はアワアワしながら真っ赤になる。
そして俯く。
胸に可愛いリボンのある制服。
他校だけど...だけどはっきり分かる。
これは相当にスタイルも良い。
とは言っても。
「...星空。有難う。今日声かけてくれて」
「?...それはどういう意味?」
「...いや。死のうと思っていた」
「...え...」
青ざめる星空。
「じょ、冗談でしょう?」と愕然としていた彼女に理由を話す。「...実は彼女に浮気されてな」と、だ。
すると星空は「そ、そうなんだ...」と眉を顰めてから俯く。
俺はその複雑そうな顔に「ゴメンな」と言う。
今はこうして幼馴染を止めて別れて10年が経過した。
星空にも彼氏とか出来ているだろうし大切にしてほしいものだ。
俺みたいな地獄を見ずに済む様になってほしいが、と思っていた時。
星空が顔をばっと上げた。
「優くん」
「...はい?え?いきなり下の名前...」
「優くんが死ぬなら今から私も死にます」
「...そう...は?」
「だって優くんが居ない世界なんて私にとっては要らない世界だし」
「ば、馬鹿野郎かお前!?」
「本気。...君が無事でないなら私も無事じゃなくて良いから」
そうしているうちに10時35分の快速列車が到着してしまった。
俺は複雑な顔をしながら踵を返す。
それから「そんなの駄目だ。だから俺は1人で死ぬ」と去る。
だがそうしているとドサッと鞄を落とす音がした。
そして何が起こったか。
「...!?!?!」
いきなり背後から抱き締められた。
それから「行かないで。お願い」と言われる。
美少女と平凡男子高校生のその様な感じに周りは「???」という感じになる。
何事かという感じに、だ。
「ま、待て。星空。人がいっぱい居るんだから」
「関係無い。...私の大切な人が居なくなりそうだから止めるのが必死になるのは当たり前でしょう」
「は、はい?!」
「...私の言葉はどうでも良いけど。死なないで。お願いだから」
俺は振り切ろうとしたのだが。
背中が濡れる感触があった。
つ、つまりこれは。
そう思いながら背後を見ると彼女は泣いていた。
「私は...貴方が死ぬのは...困る。だから死ぬなら私が一緒に死ぬ」
「...!」
「...私...は。貴方に死んでほしくないから」
「...」
そう言いながら彼女は涙を流し続ける。
流石にその光景に人々はヒソヒソと顔を見合わせ始めた。
俺は「も、もう分かったから」と星空の肩を掴む。
それから「俺は死なない」と言いながら彼女の涙を拭う。
10センチぐらい高さの違う彼女の目の涙を拭う。
「泣くな。な?」
「...うん」
そして彼女が泣くのを落ち着くのを待ってから近所の喫茶店に来た。
それから彼女と向かい合って座る。
彼女はコーヒーを一杯注文した。
俺も同じものを注文する。
☆
「何でそんなに俺を止めたいんだ」
「当たり前だよ。...だって私の元とはいえ幼馴染なんだから」
「...」
「...」
そんな感じで話しながら俺は「...10年も経ったんだぞ。あれからお前だって彼氏が出来たろ?だったら...」と言う。
すると星空は「彼氏は居ない」と話してきた。
俺は「え?」となる。
星空は赤くなる。
「...私は10年間彼氏を作ってない」
「...10年間...はぁ!!!!?な、何で!?」
「この10年で5人に告白された。だけど全部丁重に断った」
「こ、断った!?何でだよ!?」
「そ、それは言えないけど」
言い淀みながらコーヒーを飲む星空。
俺は訳も分からないまま彼女から視線を外してコーヒーフレッシュをコーヒーに入れながらシロップを入れた。
それからかき混ぜながら居ると星空がクスッと笑う。
「...変わって無いね。優くんって」
「...何が?」
「君は甘党だったから。10年前も」
「仕方が無いだろ。...俺は味覚が子供のままだ」
「いや。全然構わないよ。可愛いから」
「あのな。褒めて無いだろ」
全く、と思いながら俺は口をへの字にしていると「格好良くなったなんて言えないし」とボソッと聞こえた気がした。
「は?何か言ったか?」と聞いてみたが。
彼女は「女の子に追及しては駄目」と口元で人差し指をクロスした。
何だってんだ。
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