第118話 風呂
「おおおぉぉぉぉ~~~・・・しみるぅ~」
自身で調整したまさに丁度いい温度の風呂に腰を沈め、ついつい実年齢に見合った声が漏れる。
なんと実に約二週間ぶりの風呂。
あ、違う。ここに来る前にも三日は入ってなかったから約三週間ぶりと言った方が正しいか・・・。
・・・しょうがないだろ。仕事もしてない一人暮らしのニートなんて毎日風呂に入る奴の方が珍しいんじゃないか?
だって出かける予定は皆無だし、飯なんかは頼めば配達員が持って来てくれるから、買い物に出かけるということもほとんどなく、人に面と向かって会うということが無くなると、人は容姿に無頓着となるのだ。ソースは俺。他は知らん。
なんてくだらないことを考えて気をまぎらわそうとしていたが、俺の意識の九割九分九厘はキッチンの勝手口に集中している。
何故かって?そんなん決まってるだろ。
そっから服を脱いだ産まれたままの姿の四人が出てくるからだよ!
だが、明らかに待ちわびてました!みたいな態度をとっているとこっぱずかしいからなるべく平静を保っていようという俺の無駄な残り0.1パーセントが先程のような彼女達と関係ないことを考えようとしていたわけだ。
目を開けているとどうしてもそっちに目を向けてしまうから瞼を閉じていようとするのだが、俺の中の大半の俺が絶対に見逃すなと叫び続けてくるからどうしても視線を完全に外すことが出来ない。頑張っても薄目になってしまうのははほんと誘惑に弱いと自分でも思うわ。
一人で悶々としてギンギンになっていると、勝手口の扉が開き、遂にその時がやってきた。
「なんだか裸で外に出るというのは変な感じですね」
「はい、ちょっと恥ずかしいです・・・」
最初に出て来たのは一糸まとわぬ姿で包み隠さず堂々と出て来たオリヴィエと、それに続いて少し恥ずかしそうに体を丸めていたミーナだが、そんな彼女も何も身に着けてはいない。さすが俺の奴隷、わかってるぜ。ぐっじょぶ。
「ほ、本当に全員で入るのだな・・・」
「う、うぅ・・・まさかこんなことになるなんてね」
後に続いてきたのはアンジュとウィドーさん。
彼女達は白い布で大事な部分を必死に隠し、おずおずと勝手口から出て来た。
母さん。異世界は天国でした。産んでくれてありがとう。十年前に熟年離婚して家から出ていったっきり一回も会ってないけどな。
「よ、よし。全員来たな」
内なる俺は踊り狂って狂喜乱舞していたが、表の俺はそんな感情をなんとか留め、みんなに内なる俺を見透かされないようにと必死だった。
「ご主人様、このまま入ってよろしいのでしょうか?」
「今回は俺好みに少しお湯の温度を熱めにしたからいきなり入らない方がいいぞ。そこの桶で体に湯をかけて体を慣らしてからゆっくり入るんだ」
俺の好みは四十二度。三度になるとちょっと熱すぎで、一度だと物足りない。たぶんこの感覚は日本人でないとわからないだろうな。
四十二度というのは日本では至って普通の湯温ではあるだろうが、風呂が一般的でなく、入り慣れていないこの世界の人間には、この温度は少々高いだろう。俺だって子供の頃は沸かしたての風呂にちょっと水を入れて温度を下げてから入ってたし。
「あ、これですね。わかりました」
あ・・・桶を取ろうとしてしゃがんだ時、オリヴィエの双丘に震度5の揺れが・・・。眼福也。俺の俺が戦闘力を増す。はちきれそうだぜ。
オリヴィエが風呂桶から湯を掬い取り、自らの肩口にそっとかける。
「んっ・・・んぅ・・・・」
慣れない感覚がオリヴィエを襲い、甘い吐息が漏れ出す。我が息子からも漏れちゃいそうだぜ。
二度程それを繰り返して体を湯温に慣らし終えると、オリヴィエは風呂桶に手をかけ、
「失礼します」
といって我が領土に足から踏み入れた。
どんどん侵略してきてください。今ならフリーパスですよ。ビザも要らないです。はい。
「んっ・・・!・・・っっっぁあーーー・・・・。・・・フゥ。これは気持ちいいですね」
入った直後は体を震わせて温度に耐えていたが、それに慣れると体を弛緩させて俺にもたれかかり、うっとりとした表情で風呂の感想をのべた。
「そ、それでは私も・・・!」
そういってミーナが先にオリヴィエが行った工程を真似して実行し、同じような反応で俺を喜ばせてくれた。オリヴィエより小ぶりな彼女の震度は3位だったかな。ええ、ちゃんと確認しましたとも。
そしてミーナも足からそっと侵略し、一定時間の身震いを経た後、オリヴィエの反対側である俺の右肩に寄りかかってきた。
「はふぅ・・・初めての体験です・・・」
両手に花とはこのことだったのですね。辞書にはあったが、実在していない創作物だと思ってたけど、ここに存在していたんだね。・・・まぁこれまでもベッドの中でもそれ以外でも体験はしていたけど・・・だけど、なんか・・・こう・・・風呂の中だとそれを物凄い実感するんだよ・・・。なんでなんだろう。
「・・・わ、私達も・・・い、行くか」
「そ、そうさね・・・」
そう言って二人は風呂桶の淵まで来て・・・布を恥ずかしそうに落とした。
父さん。俺は今極楽浄土に居ます。育ててくれてありがとう。会話なんかここ十数年毎月のように金をせびってくる時に「金」の一言だけだったけどな。
アンジュの肌は白く、透明感が凄い。見ているだけで吸い込まれそうだ・・・。胸部装甲はミーナと同じ位かな。ちょっと控えめ。
対してウィドーさんの迫力は凄い・・・。オリヴィエも大きい方だと思っていたけど、彼女を遥かに上回るそれはまさに山嶽連峰。これは男なら絶対に踏破しなければならない。何故ならそこに山があるから。夢がいっぱい詰まった山がな。そんな凶器を隠し持っていたのか、ウィドーさんよ・・・。
そして先っちょは恥ずかしがり屋さんみたいです。イイネッ!
二人も前任者に倣い、自らの肩口に・・・と思ったら、お互いにかけあっとるっ!!なにそれ、いかがわしい。いいぞ、もっとやれっ。
「んむぅ・・・」
悩ましい声まで俺の耳に襲撃してきた。らめぇ!破裂しちゃうぅ!
まだだ!まだやられはせんっ!やられはせんぞぉぉー!
硬度と戦闘力を増していくマイサンをなんとか抑え、耐え忍ぶこと数十秒。二人はやっと俺達の待つ湯船へと入ってきた。
「う・・・ハァ~~!!これはいいな、サトル」
「んっ・・・!アッ・・・!・・・ハァ~~~・・・ほんとだねぇ・・・これは最高だ」
我慢だ・・・耐えろ、俺。
今じゃない。今じゃないぞっ!
俺は今すぐにでも世界的泥棒の三世みたいに飛び掛かりたいという欲を必死にこらえるため、少し体に力が入ったのだが・・・その結果、両側に居た二人の肩にかけていた手が二人を引き寄せて俺の体に密着させる結果になってしまった。
「あ・・・ご主人様・・・」
「サトル様・・・」
俺の両側の二人は湯の温度にもあてられていたこともあっただろうが、頬を赤く染め恍惚とした表情でこちらを見つめて来た。
ああ・・・もう知らん!
ど~にでもな~~~~れっ!
そこからはもう止まらなかった。
まさに欲望の赴くままにその場の全員を平等に愛し、相対して相まみえまくった。
何戦かした後は色情魔もつけちゃって継戦能力を増し増しにして連戦に次ぐ連戦を果たした。
自分でも思ったさ・・・ちょびっと手が早いってな。
だがわかってくれるだろう?あんな状況になって開戦しないやつなんて玉無し野郎か、鈍感主人公だけだ。
でも、今夜はどうせ元々こういうことをするつもりだったんだ。
それがちょっとはやまっただけさ。
少しだけ激しくし過ぎたとは自分でも思う。特に後半はな。
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