雪 ~10代から20代に書いた詩~
天川裕司
雪 ~10代から20代に書いた詩~
雪
外では雪が降っていた。その白さは、ことごとく寂しくなり、私の目には唯冷たいものとだけ、感じられた。
私には過去があった。卑しく、他人(ヒト)には言いたくない過去である。その過去の故に、私は嘆き苦しんだ。その雪でさえ、その慰めには何の役にも立たなかった。皆、唯、呑み喰いしただけで去ってゆき、そこには唯はじめからある私だけが残って居り、その者達は戻っては来なかった。
四年の歳月である。その四年の内に、その者は大きく変り、私は見えないところへ行った。淀んだ労費だけがむなしく燃え盛り、あとには、これを消すための水は渇いていた。
外にはひとつぶてのかたまった雪が、溶けるのを待っていた。
雪 ~10代から20代に書いた詩~ 天川裕司 @tenkawayuji
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