「Table」~10代から20代に書いた詩~

天川裕司

「Table」

「無題。」

 事実には事実の良さがあり、想像には想像の良さがある。どちらも人間が思ったものならば、人間の世界にてかいたものにまちがいはない。競争はない。事実が神の手が加えられた人間の想像ならば、想像は人間の内から出た神の手が加えられた想像である。


「模倣。」

 かいた事には駄作は多い。しかし、その駄作は無駄にはなっていない。そこから貴なるものが生まれるのだから。だから、駄作を嫌ってはいけない、煩ってはいけない。そんな事を気にしていれば、すぐ潰されてしまう。駄作をかいて良いものが生まれるのだ。駄作を愛する自分を愛せよ。


「Table」

 テーブルの上に風が吹く。そこにはいろんな細々としたものが、沢山、ひしめいて、座っている。置かれているのには、恐らく違いないが、落ちてしまえば何も見えなくなり、「もしかしたら」と疑惑を感じることもしばしば、ある。私はそのテーブルクロスのしかれた、小ぎれいなテーブルの上のものしか、見ることは出来ないのだ。窓から風が吹くのを尻目に、一瞬、神様の仕業を予感してしまうこともある。そら、そこに誰かが来た。腰かけて、母親のつくる料理か何か、出されるものを、腹の中に入れようと、二階から下りてきたみたいだ。そこのテーブルに並んだものを眺め始めた。不意に、茶碗を置くその人の母親の手が向うに見えていたビーダマとの間に入って、邪魔をした。私は、その人を見ていた。


「ビジョン。」

 テレビよ。人の愛とは、そんなに簡単に浮くものなのか。私が、見間違うじゃないか、いい加減正直になってくれ。私は変り果てた。その責任は、お前のせいでもあるのだ。テレビ。


「無題。」

 この世で、高級(貴)と呼ばれている女には手を出さない方がいい。この世のハッピーエンドは自分(身)の内にある。世の中では、すべてが「君にまかせる」というだろう。

そんなに全てが上手く行くわけない、と、自分の内側からと自分の外側からと、多彩に言いくるめてくるだろう。人の愛とは何であるか?利いた風な口を聞く事がある。その時、私は腹が立った。先に、世の中に先を越されたような気がして言葉が出なくなった。思い込みというものがあり、そこから人の勝手さが生まれてくる。人とは何であるか。誰も、専門の道には生きようとはしないものか。人には理性というものがある。しかし、嘘無か現実か、飾りつけられたヨタ話の横で姿を変えてゆく。

思わず涙が出る。その涙は人を落胆させるものか、遠くへ退けるものか。薄いベールの中で、そんなもの全てがざっくり消え失せてしまえ。そんなもの、虚無に過ぎない、はじめからなかったものに過ぎない。どこかのおタク野郎が、真暗い路地の下で一生やってればいい。私には関係ない事だ。

女優の話もあった。これだって一度は考えていたこと。つまんないところで出てきたものだ。秘密な事は一人で考え込む質か。そんな事をして何かすっきりするのかい。私の思考も変ってきた。又、話がそれてきた。又、ざしきわらしの話を持ち出してきた。思考というものは、或る極限状態に立たないと湧いて来ないものなのか。「立場。」か。何故、立場なんてものが必要なのだろう。

専門の道の上で。わけがわからなくなった。かわいい女の子の事をよく想う。和服で、青い和服で、鈴の音が鳴りながら、りんりんと歩いてくる。この世の女は、他人だ。でも愛してしまう。それは、私の場合だけ、躰を見ているからなんだ。私は文学者に成りたい。人の悪口を、陰口だけは言いたくない、真実だけを述べる文学者な人に、なってみたい。

人は、大切だ。女もその内に入っている。しかし、やはり、少し気をぬくと、その躰が光って、私をまるで病人の様にしてしまう。あの娘は、そんな世の中の女を越えながらやって来てくれるのだ。それも、もう50編はかいた。もう、いいだろう。何が正しいかは、もう、この世が、その内の中で決めてしまっているのだろうから。この世の事は非道く簡単な様で、よくわからない。

俳優、女優なんて、あんな学芸会みたいな事をやっててどこが楽しいのか。

本当でない物語(こと)に身を乗り出して本気になって、何も残らないのに、否、残るのは金か、子供だ。

良い音楽を聴けば感動する。良い文章を読めば良いものを得たと又感嘆する。就職をすれば、出来たで、一生を安泰されたのだと思い込んで、安心する。目の前に3つある。どれもに、それなりの光が見えて、きれいだ。だけど、就職の活動の上には、私のしたい主旨が見つからず、暗黙である。それは言っちゃいけない。言っちゃいけない。このくり返しで、実は、今日の今の今まで、保っているようなものである。

      *

それぞれの人に、それぞれの考え方というものがあるのだ。その事を、親友のMを通して知った。あの人は、とてもやさしくて、いい人で、私の事など、よく思いやってくれていた。

私はあの人が大好きなのだ。でも、そんな私の思考が、上手く言葉にならない。頭の底から、心の底から、言いたい事など、山程あるのに、唯、口が上手く開かず、動かず、良い言葉が出てくれない。

私は、今、それとたたかっている。どこまで行けば、直るのかは知らない。この世は、全部ハッピーエンドで終ればいいのに、こういうのを、舌足らずとでもいうのだろう。

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「Table」~10代から20代に書いた詩~ 天川裕司 @tenkawayuji

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