「思想~太宰~。」~10代から20代に書いた詩~
天川裕司
「思想~太宰~。」~10代から20代に書いた詩~
「思想~太宰~。」
思想。この世の知識とは別意(他意)のもの。
本を読まぬとは、その人が孤独でないという証拠である。
アンデルセンの「あひるの子」。表面、(暗闇)。沈黙。大器晩成。傑作。
死の直前に、如是我聞がある。
知識では、まともなものがかけない。又、才能とは。そのひとの知り得るところではない。字だって、それを読むひとの目に、会得しやすくなければ、良い評価など貰えはせぬのだ。きっと、他人の作品を読んでいては、その他人の人真似をしているにすぎないと、思えてしまう。今、こうしてものをかいている時でさえ、他人の目を気にしている。結局、誰かに認めて貰わないと、この世では、価値のないものになってしまうと、自分でわかっているのだ。誰にでもわかることをかいていても…。君は、その白紙に羅列してある文章を一字一句(少しならまちがえても良いが)ノートに写してゆけ。結局、そういうことをしているのだから。学生諸君。他人の悪口をかきはしない。誰のせいにもしたりしない。自分のすべきことはきちんとする。何かにすがりついて、しがみついて、おんおん嗚咽するその姿を、一体、誰が慰めてくれるのか。自分か。恩を感じた他人か。同情とは、間の抜けた言い方である。同情ほど、この世で始末の悪い体裁はない。同情をする者、被る者、どちらにとっても、風邪の治る正確な時期を言い当るようなものだ。難解の精進。他人に媚びてはいけない。他人を頼っても、頼りすぎてはいけない。自分が選んだ努力の労苦を、何かのせいにしてはならぬ。生きている以上、自身を確立してゆくのだ。その体裁は、きっと、友達も解ってくれる。逃げてはいけない。走ってはいけない。無駄に、止まってもいけない。この世で生まれる、知識人の知恵は、空しいということを、主は知っておられる。人も、そのことを知らなければならない。他人事ではないのだ。自分のこと。どれだけかいても、独学でいなければならない。独学ほど、その人に自信を与え、闊歩する術を与え、孤独を与えてくれるものはないからである。独学とは、不意にしてしまった整形手術の体に、似ている。自分では、それなりの懸念をかかえ、おもしろいとは想っていても、他人(まわり)はそうとは限らない。果して、それが認めて貰え得るものであるかどうかは、当人には、一つもわからぬのである。仕事先。学校のような街中。ひとは他人を気遣わねばならぬときがある。余計な気遣いは不要、と言ってはみても、やはり、自分の内部から湧き出てくる熱い焦燥にかられてしまっては、爆弾を植え付けられたように、動きが止ってしまう。敏感、鈍感などではない。敏感なのである。何をするにせよ、他人を気遣ってしまうのだから。気遣う、と思いやりとは、別のもの。それがわかってはいても、私には扱えない代物である。例えば、流行り。その空気が、その思いやりをけし去ってしまうのだ。情緒的雰囲気。
何をかけばいい?君が喜ぶものをかいてあげるよ。こんな私の無聊で、誰か他人に見られでもしたら、直様、溶けてなくなってしまうような、脆弱な文章で良ければ、君の気の済むことをかいてあげるよ。漫画でもないし、風刺画でもないし、素描でもないし、ましてや、小説でも成り得ない。唯、積極的な、無聊な、態を浮かばせる戯言さ。それで良ければ。何をかけばいい?(君に訊く。)かいて良い題材を教えてよ。ただし、出来るだけ、私の専門分野でのことにしてほしいんだ。それ以外は、少し、責任ももてないし、大胆にもなれないしね。こんな、妙な縁なのだから。それだけに凝視して、私とのことだけを考えて欲しい。なにも、誰にも、恥ずかしがることはないんだよ。素直さが一番なんだから。出来るだけ、君がよみやすい文章にしてかいて、差しあげるから。(よわむしに限って、虚構を練り上げる。)私はこんなことをかきながら、何を想っているのか。
しんと、静まりかえった図書館で、背後にあるひとの気配を感じながら、ずっと、文章をかき続けている。これといって懊悩もしてないし、創作意欲もない。「無意識の殴打」、ひとこと、呟いた。「悪」の意味らしい。意識的の殴打は悪ではない、という。何のことかもわからない。わからない、というより、知り得ない。知っていれば、も少し、興味も踊る。あれだけ、激しく燃えた興味も、今日には、けろりと表情を変えるのである。思いついたことを何でも言えばいい。「どうせ死ぬのだ。」この言葉は、どうせ皆死ぬのだ、という意図にも聞こえ、興味心をあおられる。しかし、それだけである。「早死に」など、したくはない。君、「なにもわかってない。」と嘲笑したらいい。事実、そのことには違いないのだから。君の言っていることがわからない。何か、難しい文章を並べているね。ひとつの物事をつらぬき通すというのは、こんなにも難しいことだとはね。私だって、いくらでも語る。
「思想~太宰~。」~10代から20代に書いた詩~ 天川裕司 @tenkawayuji
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