第3話 映画
会社にて
---だーはっは!面白すぎる。な、涙が出る。
---笑いすぎだぞ佐野。
---初デートでスーパー銭湯とか笑う。で、キスはしたの?手は繋いだの?
いや、キスも手も握ってない。
---初デートでおねんねして、キスはおろか手すら繋いでないとは…今どきの小学生ですらキスまでしてるというのに!そしてLINEも返ってこないとは…ご愁傷様です。
---何かアドバイスくれよ〜。
やねか
皆田は両膝をついて懇願した。
---ない!結果は神のみぞ知るって感じ?まあ、神じゃなくても分かるけど。
---あ、LINEきた。
---ついにお別れか‥非常に短かった。
佐野が腕に目を当てなくふりをした。
---次のデートの約束こぎつけた。
---何ですと!?!?
佐野は目を見開いて大きな声で驚いた。
---次のデートどうしよう。取り返したい!佐野くーん
来るだろうと、思っていた佐野は腕を組んで待ち構えていた。
---頼ってくれると信じてたよ皆田くん。次は新宿で映画だ!
---映画?!また寝ちゃう。ブラック企業で働いて帰りの電車に座れたくらい寝そう。
---またかどうかは知らないが、相手のリクエストに応え映画を一緒に観にいくべきだ。
---絶対ホラー系じゃん!オレ、苦手なんだよなぁ。
---ホラー系?ちょうど良いじゃん。今一本公開してるし、寝ないし、オバケが出てくる流れで抱きしめちゃえよ!
佐野は最後にウインクをした。皆田の背筋が凍った。
そして、2回目のデート
新宿駅前で待ち合わせて、事前に映画デートということで見たい映画をピックアップして貰った。ホラー映画対策にサングラスをかけてきた。見ない為だ。
---頼子さんおはよ。
---おはよって、えぇ!サングラス今日、曇りだよ?
---何となくね、かけてみたんだ。変?
---全然おかしくなんかないよ。むしろ、カッコいい。
むしろの部分は小声だった為、皆田には届かなかったが、耳が真っ赤だったので、察してそれ以上は聞かなかった。
---頼子さん、観たい映画決めてきた?
---うん。時間もちょうど良いし、これ
恐る恐るスマホを見てみると、ホラーではなく恋愛映画だった。ホラーじゃなくて良かったが、寝そう。そう思った皆田なのであった。
そして、映画が始まった。話題の映画という事で、期待したが、ありがちな展開だった。開始3分で皆田は気づきいつのまにか寝てしまった。起きた時にはエンドロールが流れていて頼子はハンカチ片手に号泣していた。エンドロールの中盤いきなり視界が真っ暗になってキスされた。頼子は席を立ち、皆田に正面でキスをした。横向けば立たずに気づかれずに出来るというのに、知らない頼子は正面で行ってしまった。号泣した後だったので全体的に濡れていたがそんな事は気にならず、キスをした。頼子は後ろの席の視線が気になってやめてしまったが、皆田は濡た頬柔らかい唇をしっかりと覚えていた。
頼子は前日の夜、インターネットで調べていた。画面には、映画でのキスのタイミングについてそこでは映画は恋愛映画を見て終わりに感情が昂ったときにキスと書かれていた。それを実行した。決して立たずにと書かれていなかった。頼子も緊張で映画の内容が入ってこなかったが、雰囲気で号泣してしまった。しかし、キスのタイミングだけは忘れなかった。検索した時からき覚悟は決まっていた。ファーストキスの味は、正直覚えてないけど、事実は残った。一歩前進したような感覚だった。
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