第37話

俺は足の痺れが回復した後、玉藻ちゃんに連絡をした。

玉藻ちゃんは俺が電話をしたら直ぐ電話に出てくれた。


「週末に映画を観に行かないかな?玉藻ちゃんが映画が苦手なら別の場所でも・・「映画!行きます」・・うん、ありがとう。」


俺の誘いに食い気味で返事をしてきた。


「玉藻ちゃんはどんな映画のジャンルが好きかな?今、上映しているのはアクション映画と恋愛え・・「恋愛映画で!」・・うん。ありがとう。」


食い気味で観る映画も決まった。


それから俺は待ち合わせの場所と時間を決めて、少し、玉藻ちゃんの近況を聞いて電話を切る。


俺としては電話で会話するのは、少し苦手だ。


相手の顔が見えないと会話のテンポが悪くなるような気がするからだけど、玉藻ちゃんだと毛羽毛現だからな。会ったとしても表情が分からないからな。

たまに頭の毛が動くからそこからある程度は感情が分かるけどな。


俺としては、アクション映画とかも楽しそうだと思ったけど。


まぁ、デートは女性が楽しんでくれたら90%は成功したようなものだと、父さんが言っていたからな。


えっと、今上映している恋愛映画はっと、


『君のすいとんを食べたい。』


か、ふ~ん、小説が原作にあるのか、俺は普段なら、観にいくの映画とかは事前に調べたりしないのだが、今回は晴のお気に入りの玉藻ちゃんとのデートということもあり、少し慎重になっているのか、ついあらすじを調べてしまう。


なになに、


主人公は学校の図書室にいるとき、廃部になった料理クラブ最後の部長が記した『合同レシピブック』を見つける。


それは歴代部員達の好きな料理や得意な料理を最後の部長が手書きで記したレシピにコメントをつけたもので、主人公はそのコメントに一つ一つに共感や親しみを覚える。そして、最後のページに記された『廃部になるまでにしたい事』を追体験することで、それまでは人間嫌いだった主人公は「人を認める人間になり、人を愛する人間」になりたいと思う。


そして10年後、職場で偶然知り合った女性が、そのレシピを書いた最後の部長だと知り、主人公は告白する。


そして、主人公は唯一コメントが無かった最後の部長自身のレシピ「すいとん」を食べたいと願うのだった。


なるほどね。

題名から戦時中の設定だと思ったけど、現代設定なんだな。


玉藻ちゃんは喜ぶかな?

まぁ、本人が恋愛映画を所望していたから大丈夫だろうけど。


俺は、最近ファッションセンスを上げている晴にお願いして、デート用のコーディネートを決めてもらおうと晴の部屋の扉をノックするのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る