第36話
「アニキちょっとそこに座りなさい。」
俺は家で妹の晴に呼び止められて、晴の前に強制的に座らされる。
俺が胡座をかいて座ると、晴は、
「そうじゃないでしょ。正座だよ。正座。」
俺はよく分からずに晴の言う通りに正座で座りなおす。
その俺の素直さに、晴は、まぁ良いでしょみたいな感じになって、
「アニキ、最近、クズに振られて情緒が不安定になっているのはわかるけど、クズの意見に流されすぎだよ。」
俺が晴を何を言っているのだ的な目で見ると、
「良いかね!普通の男子は女の子の手は簡単には握りません!」
昭和初期の頃か?
でも、俺は最近、女子の手なんて握ってはいないけど・・・、いや、握っているわ、ショッピングモールの時とこの前の心理学の授業の後、握っているわ。
でも、あれはさぁ。妖怪だからね。ノーカンじゃないかな?
いや、周りの人はぬっぺっぽうも毛羽毛現も可愛い女子に見えるとは思うけど、俺には妖怪にしか見えないからね。
でも、晴に逆らって良いことは一つもないからな。素直に謝っておこう。
「そうだね。たしかに俺は葛葉に振られて、ちょっと情緒がおかしくなっているかもしれない。玉藻ちゃんや葛葉と手を繋いだりしているのはやっぱりおかしいよな。」
晴は俺の言葉を聞いて手をブンブンと振って、
「いや、アニキ、玉ちゃんは良いんだ!玉ちゃんは、アニキのことを気になっているからね。だけど、クズとはだめだ!アイツはアニキを振っているからね。」
俺は晴の言葉に少し引っかかりを覚えた。
「玉藻ちゃんは、俺のことを気になっているの?」
晴はしまったという顔をしたが、何かを思ったらしく、
「そうだよ!玉ちゃんはアニキのことが気になっているんだよ!だからね。今度、玉ちゃんとデートしてきなよ。」
毛羽毛現とデートか。ちょっとビジュアル的には、まぁ、◯ックと歩くみたいなものだからな。
あまり、ドキドキはしないから、俺としては良いんだけど、
「そうか・・・、じゃあ今度の休みの日でも、玉藻ちゃんを誘って映画でも観に行こうかな。」
晴は俺の言葉に大きく頷き、
「そうだよ!イイね!アニキ!最初のデートの定番は、映画鑑賞っていうしな。さすが、アニキだね。」
俺は晴の機嫌が良くなったことを見ると、
「そろそろ、正座を崩しても良いかな?もうそろそろ足が限界・・・。」
俺は足が痺れてしまい、その場に崩折れる。
その様子をみた晴は、
「だめだねアニキは。やっぱり、アニキも武道をやろうよ。正座は武道の基本だよ。」
そう言って、俺の痺れた足をつつく。
「やめろ!」
俺は晴に痺れた足を突付かれながら、玉藻ちゃんと予定を合わせる連絡や観にいく映画を決めないとな。などと頭に思い浮かべる。
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