第12話
あれから講義の終わりの度にぬっぺっぽうが俺の隣にきて、色々言ってくるが、俺は取り合わずにしていたら、昼食の時間になったので、俺は急いで学食に向かう。午後からも講義があるので、しっかりと食べないとな。
確か、今月の学食メニューは沖縄フェアだったな。
俺が通学している大学の学食は、学生に寄り添った学食を目指しているらしく、定期的に地域の料理を取り入れたフェアをやっている。
俺は沖縄料理は大好きなので、今月は楽しみにしていたんだ。
葛葉との件がなければ、幸せな1ヶ月だったのだかな。
そんなことを考えつつ、今回の学食メニューの目玉の一つ、ソーキそば(豚の骨付きあばら肉をソーキと呼ぶらしい)を頼む。
因みに、沖縄県民以外が沖縄そばと言えばこのソーキそばをイメージするらしい。
だから、定食屋に行って、何も考えなく沖縄そばを頼むとソーキが入っていない普通のそばが出てしまい、ちょっとがっかりするらしいな。
なので俺はちゃんとソーキそばを頼んで、ワクワクしながら席についた。
そう、そんな時が俺にもありました。
この学食には、カウンター席のような1人掛けの席が無く、4人がけの席しかないのだが、月曜ということもあり、そこそこ空いていた。
俺は1人で4人掛けの席に座っていたのだが、俺の前に元親友の酒田が座った。
そして酒田の隣には、何回か酒田の横にいたのを見たことがある女性が座った。
この女性が葛葉が言っていた酒田の彼女か?
確か渡辺とか言っていたな。
嘘か本当か知らないが、葛葉がおかしなことを言い出したのはこいつらの入れ知恵らしいけどな。
俺としては酒田やその彼女とは話すことはない。
「いただきます。」
俺は作ってくれた学食のおばちゃんと犠牲になってくれた豚への感謝を告げた後は、無言でソーキそばを啜った。
そうしてそばを啜っていたら、俺の横にはぬっぺっぽう(葛葉)が彼女面して座った(ごめん。嘘をついた。今の葛葉の顔は肉の塊に皺が入っているようにしか見えない)。
うこいつらはこんなに空いているのに、俺と同じ席に座ったんだ?
誰も何も話さないし、俺以外は何も料理を頼んではいないので、俺がソーキそばを啜る音しか聞こえない。
何だ!この新手の羞恥プレイは?
そんなことを考えつつ、俺はソーキそばを食べ終えた。
「ごちそうさまでした。」
俺が食べ終えると、酒田が口を開いた。
「賀茂、ちょっと良いか?」
「だいぶ悪いから無理だな。じゃあ。」
俺は酒田に別れを告げ、次の教場に向かおうとした俺の服の袖を短い肉の手が掴む。
「ちょっと待ちなさいよ。」
うーん。ぬっぺっぽうはどうやってこの肉の手で物を掴めるんだろう?
俺が止まったのをみて葛葉が手を離す。
「賀茂君、話を聞いてもらっても良いかしら?」
ここにきて、酒田の彼女、渡辺が俺に話しかけてきた。
「申し訳ないが、俺はハーレム大好き男とその取り巻きには用事はないのでね。」
「だから!私は酒田君とは付き合っていないって!」
ぬっぺっぽうが叫ぶ。
「食堂では静かにしたほうが良いよ。」
俺が冷静に告げるとぬっぺっぽうがぐぬぬと言って黙る。
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