第8話

俺はぬっぺっぽうと毛羽毛現の妖怪大戦争に巻き込まれることなく無事に帰宅できた。


いや、普通の人間が妖怪の争いに巻き込まれたら死んでしまうだろ。


明日は日曜日で休みなので、家でゆっくりしよう。


しかし、葛葉は彼女の家での話しの内容では、俺が謝りにきたとか、酒田との仲を勘違いしているとか言っていたな。

葛葉のあの話しぶりでは酒田も前の彼女とは別れていないみたいだしな。


しかし、俺としては妖怪になってしまった(仮)葛葉と付き合うには抵抗があるんだよな。


声や話し方は葛葉なんだが、見かけが完全に妖怪ぬっぺっぽうなんだよな。


恋や愛よりも妖気とか殺気を感じてしまうし。

何よりもぬっぺっぽうの外見に惚れる人間は少ないと思う(俺は多様性を重んじるタイプなので皆無とは言わない)。


俺の目や脳が変わったのか、もしくは、彼女達の本性が現れたのかまだわからないな。

仮に本性が現れたしても、どうして急に現れたのかそこが分かればなぁ。


俺は家にいた母親や妹を見ても、妖怪には見えないので、安心して晩ごはんとお風呂をすませて部屋に入る。


〜〜〜〜〜


私が玄関で姉とケンカをしていたら、その怒鳴り声や物音で母親が、居間から飛び出してきて、2人とも片手で取り押さられて、今は母親の前で正座させられている。


「で、なんでケンカなんかしていたの?忠明くんの声がしていたけど、いなくなっていたし、何か失礼なことをしていないわよね!」


忠明兄さんの母親である賀茂日立(かも ひたて)さんは母親の先輩であり、学生時代から就職そして結婚、出産、子育てなどで、お世話になっていて頭が上がらなく、さらに日立さんは、昔から怒らせると怖かったとのことである。

そのせいか、うちの母親は賀茂家のことになるとやたらと気を使っている。


私達も、両親がどうしても外せない仕事の時に、賀茂家で預かってもらったり、子供の、病気になった時には、運転が苦手な母親の代わりに車を出してもらって病院に連れて行ってもらったりしているのでその気持ちはよくわかる。


だからこそ、姉のした事が許せないのだ。


姉は自分のした事がわかっているのだろうか?


〜〜〜〜〜


私は娘である葛葉がお世話になっている先輩の息子さんを裏切るようなことをしたと聞いて目の前が真っ暗になった。 


娘は実際にはしていないとは言っていたけど、そんなことは相手にはわからないことだ。


あの息子さんのことだから、悪くは言わないだろうけど、実際にあったことは、正直に話したと思う。


私は恐る恐るスマホを見てみると日立先輩からの連絡があるのに気付いた。


私は震えながら、内容を確認すると


「会って話しがしたい。」


と一言だけ書いてあった。

私は自分の未来が今の目の前と同じように真っ暗になったことを悟った。









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