第6話

香織と涼介は宝石「夜の輝き」を手に入れたが、劇場を脱出する途中で不安を覚えた。二人は宝石が本物かどうかを確認するために、国際的な宝石鑑定士レベッカ・ブラックのオフィスへ向かう。


「レベッカに鑑定してもらうべきね。これが本物かどうか確認しないと。」香織が決意を込めて言う。


「そうだな。彼女の鑑定なら信頼できる。」

涼介が頷く。


---


レベッカ・ブラックのオフィスは、精巧な宝石や貴金属が並ぶ静かな空間だ。香織と涼介がオフィスに入ると、レベッカが温かく迎えてくれる。


レベッカ・ブラックは、輝くブロンドの髪を肩まで流し、涼しげなブルーの目を持つ女性だ。彼女はエレガントなワインレッドのドレスを着ており、首元には輝くダイヤモンドのペンダントが光っている。彼女の姿は、まさに宝石の専門家にふさわしい洗練された雰囲気を醸し出している。


「香織、涼介。どうやらまた面白いものを持ってきたようね。」

レベッカが微笑みながら言う。


「レベッカ、この宝石を鑑定してほしいんです。これが本物かどうか、あなたの目で確かめてください。」

香織が慎重に宝石を差し出す。


---


レベッカは宝石を慎重に受け取り、専門的な器具を使って鑑定を始める。彼女の表情は真剣で、一瞬たりとも見逃さないように宝石を調べる。


「この宝石は非常に精巧に作られているわね。だが、何かが違う…」

レベッカがつぶやく。


「どういうことですか?」

涼介が尋ねる。


「ちょっと待って…」

レベッカが顕微鏡で宝石をさらに詳しく調べる。「これが答えよ。残念だけど、これは偽物よ。」


---


香織と涼介は驚き、言葉を失う。彼らが手に入れた宝石は、実は偽物だった。


「偽物だなんて…じゃあ、本物はどこに?」

香織が困惑した声で言う。


「黒影が本物を持っているのかもしれない。私たちは再び調査を始める必要があるわね。」

涼介が冷静に応じる。


「この偽物がここにあるということは、まだ何か隠された秘密があるかもしれない。」

レベッカが言う。


「ありがとう、レベッカ。君の鑑定がなかったら、私たちは騙されたままだった。」

香織が感謝の意を表す。


「どういたしまして。でも、気をつけて。黒影はまだ君たちを狙っているはずよ。」

レベッカが真剣な表情で忠告する。


---


レベッカが最後に微笑んで、

「さて、これで鑑定は終わりね。ところで、鑑定料をどうしましょうか?」と尋ねる。


「鑑定料?」

香織が驚いた顔で聞き返す。


「そうよ、これは簡単な鑑定じゃないからね。特別料金がかかるのよ。」

レベッカがウインクをしながら言う。


「そ、そうですか…いくらですか?」

涼介が恐る恐る尋ねる。


「そうね、この特別な鑑定には…」

レベッカが計算機を取り出し、カタカタと音を立てて打ち込みながら、

「1万円でどうかしら?」とニコニコしながら言う。


「そ、それはちょっと高いですね…」

香織が困惑した顔で答える。


「じゃあ、特別に割引して9000円でどう?」

レベッカが微笑んで提案する。


涼介はため息をつきながら、

「まあ、これで騙されずに済んだんだから、それくらいは払わないとね。」

と財布を取り出す。


「ありがとう、助かるわ。これでまた新しいドレスが買えるかも。」

レベッカが冗談交じりに言う。


「わかりました。今度はもっと高価な宝石を持ってきますから、その時はまたよろしくお願いしますね。」

香織が笑いながら答える。


---


香織と涼介は、新たな手がかりを求めて再び動き出す。偽物の「夜の輝き」が見つかったことで、彼らは再び黒影との対決に向かう決意を固める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る