港町事件簿 探偵事務所編 『消えた宝石』

第5話

香織と涼介は、地図の手がかりを元に門司港の古びた劇場に向かう。劇場の前に到着した二人は、暗い影を背にして静かに劇場の中に足を踏み入れる。

古びた劇場は、その外観から過去の栄光をうかがわせる。かつては華やかな舞台を彩ったであろう大きなネオンサインは、今や一部が壊れ、点滅する明かりが不気味な雰囲気を醸し出している。入口の両脇には、昔のポスターが色褪せて貼られており、風に揺れている。重厚な木製の扉には、錆びついた取っ手がついている。

「ここが地図の示す場所ね。」香織が低い声で言う。

「この先に何が待ち受けているか、油断はできないな。」涼介が慎重に周囲を見渡す。

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劇場の内部は、かつての栄光を失い、薄暗い照明が不気味な雰囲気を醸し出している。高い天井には豪華なシャンデリアがぶら下がっているが、その多くのクリスタルが割れ、埃をかぶっている。客席の椅子は所々破れ、赤いベルベットのカーテンも色褪せている。舞台の中央には、かつての道具が無造作に置かれ、薄い埃が積もっている。

「静かに。誰かがいるかもしれない。」涼介が耳を澄ませる。

その時、遠くから微かな声が聞こえてくる。二人は声の方向に向かって慎重に進む。

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通路の先には、小さな部屋があり、中では一人の男が何かを探している。男は黒影の一員で、宝石を見つけ出すために劇場に潜入していた。

「動くな！」涼介が銃を構えて男に向ける。

男は驚き、手を挙げて振り向く。「待ってくれ、俺はただの運び屋だ。宝石のことは何も知らない。」

「本当か？なら、ここにいる理由を説明してもらおうか。」香織が冷静に尋ねる。

「上層部からの指示でここに来たんだ。宝石はここに隠されていると聞いていたが、まだ見つかっていないんだ。」男が怯えながら答える。

「どこに隠されているか知っているのか？」涼介が問い詰める。

「いや、正確な場所は知らない。ただ、この地図の続きがあれば…」男がポケットから地図の一部を取り出す。

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涼介が地図を確認し、香織と一緒に部屋の中を調べる。そこには隠し扉があり、扉の奥には秘密の地下室が存在していた。

「ここに違いない。」香織が確信を持って言う。

二人は慎重に扉を開け、地下室に降りていく。地下室は暗く、冷たい空気が漂っている。涼介が懐中電灯で周囲を照らすと、床の一角に何かが埋められているのを見つける。

「これだ。掘り起こしてみよう。」涼介が決意を込めて言う。

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掘り起こされた土の中から、古びた箱が現れる。香織が箱を開けると、そこにはついに見つけた宝石「夜の輝き」が輝いていた。

「やったわ！これでようやく見つけた。」

香織が歓声を上げる。

「でも、まだ終わりじゃない。これを無事に持ち帰る必要がある。」

涼介が冷静に言う。

その時、背後から物音が聞こえる。二人が振り向くと、複数の男たちが地下室に現れる。彼らは黒影のメンバーであり、二人を追ってここにたどり着いたのだった。

「お前たち、ここまでか…」涼介が構える。

「逃げ道はないわ。ここで決着をつけましょう。」香織が強い決意を持って応じる。

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激しい戦闘が始まる。涼介と香織は、黒影のメンバーたちと激しい格闘を繰り広げる。銃声が響き、拳が交錯する中、二人は次々と敵を倒していく。

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涼介は素早く動き、最初の男の拳をかわし、その腕を掴んで投げ飛ばす。男が床に倒れた瞬間、涼介はすぐに次の敵に向かって突進し、強烈な膝蹴りを腹部に叩き込む。男は呻き声を上げて崩れ落ちる。

香織は、背後から襲いかかってくる敵の足を払って転ばせ、瞬時にその上に乗り、肘で首を締め上げる。別の男が銃を構えているのを見つけた香織は、素早く身を翻し、近くの棚からガラス瓶を掴んで投げつける。瓶が男の顔に当たり、男はよろめいて銃を落とす。

涼介はその瞬間を見逃さず、男の足元に滑り込んで銃を蹴り飛ばし、立ち上がって男の顎に強烈なアッパーカットを見舞う。男は後ろに吹っ飛び、意識を失う。

「まだまだ終わりじゃない！」

涼介が叫ぶ。

次に、二人の男が同時に涼介に襲いかかるが、涼介はその場で回転しながら蹴りを放ち、二人を同時に倒す。香織もまた、敵の背後に回り込んで、手際よく関節技で相手を制圧する。

戦いが激しさを増す中、香織と涼介の息の合った連携が光る。香織が敵の注意を引きつける間に、涼介が背後から襲いかかる。逆に涼介が前線で戦っている間に、香織が敵の側面から攻撃を仕掛ける。

「これで終わりよ！」

香織が最後の敵を倒し、涼介が安心して頷く。

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戦闘が終わり、地下室には静寂が戻る。香織と涼介は深呼吸をしながら、互いに微笑み合う。

「終わったわね。これで宝石を無事に持ち帰れる。」

香織が安堵の表情で言う。

「そうだな。でも、まだ油断はできない。急いでここを離れよう。」

涼介が警戒を怠らずに言う。

二人は宝石「夜の輝き」を手に、地下室から脱出する。彼らの冒険はまだ続く。新たな謎と危険が待ち受ける中、二人は決して諦めることなく、真実を追い求める。