第57話 文化祭②
「二番テーブル、オムライス一つ、ナポリタン一つ!」
「了解!」
「四番テーブル、サンドウィッチ二つ!」
「了解!」
「一番テーブルオッケー!配膳!」
「了解!」
現在、三組が使用している調理室の調理台九台中六台ではものすごい声の嵐と調理器具を動かす音が響き渡っております。
周囲の目が驚異的なものを見る目であるがそんなものは眼中になく料理の品を作っていくクラスメイトたち、しかしそうなるのも無理はない。
何故なら誰しもがここまでの状況を予測していなかったのだ、いや、あの存在が及ぼす力を甘く見ていたのだ。
その事情を話すため、遡ること数十分前ほど…。
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「三番テーブル、ナポリタン一つ」
「了解」
「一番テーブルオッケー、連絡お願い」
「了解」
調理室の前の黒板に立っている女子がスマホから接客担当から連絡を受け取り、黒板に書かれているテーブル番号に料理名を書きながら、すぐさま調理担当に指示をする。
言い渡されたナポリタン担当班はすぐさま調理の準備にかかり、配膳担当は出来上がった品を持って調理室を出て行った。
現在お昼のピーク前となった十一時半ごろ、遊びで腹を空かせて来た人たちがぞろぞろとやってきたのか調理場が一気に賑やかになった。
それまで朝はやはり普通は朝食を済ませてくる人がほとんどであり、こういった飲食店よりかは、お化け屋敷、射的、カジノ…その他諸々の遊び系のほうに行く、そのため十時あたりの時間帯はほとんど人が来なかった。
朝はのんびりする時間があり楽ではあったが、やはり何かしら動くほうが俺は性に合っているらしく、今はこちらの方が楽しく感じている。
「二番テーブル、オムライス一つです」
「あ、了解。じゃ、水瀬さんやろっか」
「オッケー」
すると再び前の黒板に立っている女子が連絡を受け取り、オムライス担当である俺に指示をした。
俺はその指示に従い、水瀬さんの協力のもとオムライスを調理していく。
各品ごとに最低でも二人が担当することになる、まぁ、言わずともだが俺の相方を担当出来る人が水瀬さんと玉井さんのみ、その他は怖がって協力できるような立ち回りが不可能。
それであとは流れで水瀬さんが相方となってくれたというわけだ、…やっぱりまだクラスメイトと打ち解けられてないよな。
俺は悲しくもそんなことを思いながら言われたオムライスの調理を始めていった。
—— —— ——
「三番テーブル、ナポリタン二つ」
「六番テーブル、オムライス一つ」
「二番テーブル、サンドウィッチ三つ」
「……なんか、落ち着く気配がねぇな」
俺はそう口にしながらオムライスを作り上げていく。
現在十二時ごろ、お昼のピークに達した俺たちはなんの問題もなく料理を次々へと提供していった。
しかし少し気になることに何故か時間が経つにつれ注文される品の量は止まることを知らず、一向にその勢いが治る気配がなかった。
まぁ、そりゃお昼だからかな?午前中遊び系でお腹を空かせた連中はたくさんいるだろう。
それに加えてこの文化祭の出し物は飲食店系は各学年一組から二組のみと数も限られている、そんな飲食店を求めてくる人は相当なものだろう。
そう思うとその分人が来てくれているのだなと嬉しく思う半面、やはり、にしてもなんか多いようなと不思議に思う気持ちも出てきた。
俺は少し気になってしまい、ほんの少しだけ廊下を見てうちのクラスの状況を確認することにする。
これだけ忙しいんだ、うちのクラスからちょっと行列ができていてもおかしくはないだろう。
ちょうど頼まれていたオムライスを片付いたところで扉を開け、教室を確認しようと顔だけを出そうとすると、その前に目の前で何やら人の列ができていた。
この調理室は一年の階の端っこの場所にあり、隣の教室は空き教室でその隣は一組となっている、となるとこの列は一組から流れているものなのだろうか。
確か一組はお化け屋敷とかであったな、やはりこちらも文化祭の定番の一つであるがお化け屋敷はそれ以上であるか、…クラスで最優秀賞を目指している以上うちも負けられ、ん?
俺は一組に対し謎の対抗意識が芽生えようとしたその時、俺はその列でとあるものを見かける。
それはその列の後ろにもう一つ謎の列があることだ。
一組が二つ列を作っているのか?、と思ったがその列の先を確認すると、手前は一組に入っていく列であったがその後ろの列はまだその先に行っていることを確認した。
そして、俺は高身長という利点により、その列が地獄であることも等しく確認することとなった。
その列はとあるクラスまで繋がっていた。
一組を超え、二組、そこで止まるかと思われた列はまだその先に向かい、二組の隣のクラスの扉の前で止まっていた。
何が言いたいか分かる?そう、その列は我が三組によって成されていた列であった。
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